政府は3月1日、省エネ法など「安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案」を閣議決定した。2050年カーボンニュートラル等の目標達成に向け、省エネ法のエネルギーの定義の見直しや、非化石エネルギーへの転換促進、脱炭素燃料や技術への支援強化などを盛り込んだ。今通常国会に提出予定。
「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(省エネ法)に関しては、エネルギーの使用の合理化(エネルギー消費原単位の改善等)の対象に、非化石エネルギーを追加。工場等で使用するエネルギーについて、特定事業者等に対して、非化石エネルギーへの転換に関する中長期的な計画の作成等を求める。
また、現行の「電気の需要の平準化」を「電気の需要の最適化」に見直し、電気を使用する事業者に対する指針の整備等を行う。電気事業者に対しては、電気の需要の最適化に資するための措置に関する計画(電気料金の整備等)の作成等を求める。
これらを踏まえて、法律名を「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」に改正する。「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」(高度化法)では、位置づけが不明瞭だった水素・アンモニアを非化石エネルギー源として位置付ける。さらに、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage=二酸化炭素の回収・貯蔵)付き火力発電を法律上に位置付け、利用促進する。これらを踏まえて、法律名を「エネルギー供給事業者によるエネルギー源の環境適合利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」に改正する。
「独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法」(JOGMEC法)では、洋上風力発電のための地質構造調査等を追加。海外の大規模地熱発電等の探査事業や水素・アンモニア等の製造・貯蔵、CCS事業と地層探査、国内のレアメタル等の選鉱・製錬等に対する出資業務等を追加する。これらを踏まえて、法律名を「独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構法」に改正し、機構名を「独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構」に改称する。
そのほか、鉱業法の鉱業権の対象となる鉱物に希土類金属鉱(レアアース)を追加。電気事業法では、発電所の休廃止を「事後届出制」から「事前届出制」に改めるほか、大型蓄電池を「発電事業」に位置付け、系統への接続環境を整備する。
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