YKKグループは3月2日、経営方針説明会を開催し、2021年度の業績状況と2022年度の経営方針を公表した。
AP事業を担うYKK AP(東京都千代田区)の2021年度の売上高は4469億円で前年度比111%と大きく回復し、計画比も106%となり、過去最高を更新する見込み。コロナ禍の住宅ニーズで住宅リフォームが伸長、エクステリア事業も特にカーポートや門扉、フェンスを中心に好調に推移した。海外事業でも市場回復により販売が増加した。樹脂窓と複合窓による高断熱化のさらなる推進で「窓の高断熱化率」は70%に。顔認証機能を追加した玄関ドアの発売など積極的な新商品の展開も奏功した。
一方で営業利益は前年度比90%、計画比88%と、ともに下回り189億円の減益を見込む。資材価格の高騰が大きく影響した。また、オンラインからリアルな対面営業や販促活動にシフトしたことによる販管費の増加も一因となった。売上高営業利益率は、前年差でマイナス1.0ポイント、計画差でマイナス0.9ポイントの4.2%とした。
2022年度は、売上高4914億円(前年度比110%)、営業利益223億円(前年度比118%)を目標に掲げる。営業利益をプラス34億円の増益としたことについて、同社代表取締役の堀秀充社長は、一層の製販の合理化の他に、価格改定にも言及した。資材価格の高騰が続く中、ロシアのウクライナ侵攻の影響で、アルミ価格のさらなる上昇も考えられ、「もう一段の値上げを考えていかなければいけない状況」と、追加値上げの可能性も示唆した。
2022年度住宅関連の新商品に関しては、「樹脂窓による高断熱化と機能・デザインによる高付加価値化」を掲げ、下期に業界初というW12尺・H24サイズ(W3510×H2430)の「ハイブリッドスライディング樹脂窓」を投入する。樹脂窓で人気の大開口ニーズに対応したもので、アルミ樹脂複合窓により大型サイズの搬入負荷を軽減することを可能にした。堀社長は「樹脂窓では大きさに限界があったが、この商品で断熱性にも大開口にも両方に対応できる。断熱等性能等級6に対する大開口窓の一つの答えになる商品」と自信をのぞかせた。この他、窓シヤッターやスマートドアでも新たな機能や付加価値を加えた新商品を発売予定。
「窓の高断熱化率」については、カーボンニュートラルに向けて政府の施策や大手メーカーも樹脂窓や複合窓の採用を進めていることを受けて、さらなる樹脂窓の拡販に注力し、2024年度には90%に高めるとした。
2022年度の設備投資は、過去最高額となる398億円を計画する。国内では、デジタル、サステナビリティ関連を増額し、同分野に一層力を入れる。
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