エヌ・シー・エヌ(東京都港区)は2月28日、個人投資家などを対象としたオンラインIR説明会を開催した。2022年3月期第2四半期における主要事業の業績、木造建築業界の動向、新事業などについて田鎖郁社長が説明した。
国内外の木材価格が高騰する中、同社では住宅分野の売上が過去最高を更新した。自社のサプライチェーンを活かし、常に3カ月後の木材需要量を予測。木材価格が今後上昇することを見越し、見積時の住宅価格に反映した。これにより、1Qから3Qにかけての1棟あたりの売上高が約1.5倍に上昇した。
2021年4月の「住宅の省エネ性能説明義務化」を受けて開始した省エネ計算サービスでは、ハウスメーカーを中心に戸建ての省エネ計算数(累計)が前年同期と比べて70.8%増加。戸数は757戸から1293戸に増えた。売上高はサポート事業分も含めて84.1%増加している。
木造建築業界初となる構造躯体の瑕疵(かし)保証制度「非住宅版SE構法構造性能保証制度」の提供を昨年10月1日から開始。1999年から住宅を対象とした保証制度を提供しているが、地震による倒壊などが発生していないことから、新たに非住宅の構造躯体および基礎に対象を広げたもの。保証金額は最大1億円、保証期間は10年間。SE構法で建築された3000平方メートル以下、4階建て以下の非住宅物件が対象となる。
3月1日、木構造に関する技術開発の拠点となるR&Dセンターを埼玉県川口市に開設。SE構法の耐震性・防火性能をはじめ、住宅規模から中層大規模木造建築までの木構造における基礎研究、応用研究、開発研究を行う。接合部や部材の強度試験、壁・床・屋根などの水平加力試験を行う試験機が設置されている。
同社の子会社MAKE HOUSEが昨年10月に開設したBIM/CADセンター「MAKE HOUSE BIM BASE」では、BIM技術を活用した高画質建築空間シミュレーションサービス「MAKE ViZ」の提供を開始。3Dモデルを使うことで日射量の変化などの各種シミュレーションが可能になるほか、VR(仮想現実)やMR(複合現実)の技術を駆使した建築プレゼンテーションが行える。BIM人材を育成するためのセミナーなども開催する。
質疑応答では、参加者から「カーボンニュートラルは追い風になるか」「ロシア・ウクライナの軍事衝突で木材価格はどのように変化するか」「木造住宅の断熱性能は期待できるのか」などの質問があった。
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