太陽光発電協会(JPEA)は2月25日、「太陽光発電コスト低減可能性調査に関する報告書」を公表した。ドイツと比較して日本の発電コストは2.2倍などとし、政府の発電コスト目標(2025年7円/kWh)達成に向けて、平坦な土地の確保を含め、業界・国・自治体が一体となった取り組みが不可欠と訴えている。
JPEAは、日本はドイツとの比較でコスト高とされているものの詳細な比較・分析、エビデンスが無いことから、今回調査を実施したとしている。
日本とドイツの発電コスト差で2.2倍(日:13.2円/kWh・独:5.9円/kWh)、建設コストで2.9倍(日:21.1万円/kW・独:7.4万円/kW)、O&Mコストでは1.5倍(日:0.45万円/kW/年・独:0.31万円/kW/年)。
建設費の差は13.7万円/kW(64%)で、工事費・設備費・開発費の順に大きい。業界関連では、工事請負等の産業構造的な問題・調達方法、それ以外では、土地・工事費(造成費)系統の問題等が大きくコスト差に影響を及ぼしているとした。
工事費では、農地設置による造成費用の削減が最も大きく、機械化・PV施工方法(標準化)による差異もあり、全体で6万円/kWの差。設備費は設置環境による仕様の差異も一定程度コスト差の要因とみられ、直接調達による差も大きく全体では4万円/kWの差。開発費はドイツでは、農地・耕作地の地価が安く短期間で許認可を所得可能なことから、3.6万円/kWの差が生じている。
こうした調査結果を踏まえ、国の発電コスト目標との差は6.2円(47%)となり、コスト削減と導入拡大を図っていくには、「造成不要の平坦な土地を確保し、かつ工事費・設備費の大幅な削減を図っていく以外にはない」とした。
具体的なコスト削減シナリオは、工事費は平坦な土地活用で2.8万円/kW(62%)、その他高効率機器の採用・工期短縮等で1.8万円/kW(40%)、設備費は習熟効果が3.1万/kW(79%)、直接調達0.6万円/kW、開発費では許認可費用等で0.4万円/kW、高効率モジュール採用0.3万円/kW、系統接続(ノンファーム接続)0.2万円/kWなどを例示。
事業者の工期短縮・調達方法の改善等、行政の調達価格、政策の柔軟な運用、荒廃農地や促進区域の活用促進に向けた仕組み作り、配電網の系統制約の緩和等が必要などとしている。
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