熊谷組(東京都新宿区)はこのほど、フジモリ産業(東京都新宿区)と共同で、床の衝撃音の遮断性能に優れる波型中空合成スラブ「サイレントLFR」を開発したと発表した。
共同住宅では音環境の重要性が高く、上階の歩行音や物を床に落とした音を抑える床衝撃音遮断性能を向上するためには、建物の内装材だけでなく構造体である床スラブから十分に対策を行う必要がある。
以前、広く使われていた矩形ボイド型枠を用いた中空合成スラブでは、ボイド型枠上面で共振現象が起こるため、高い周波数領域で床衝撃音遮断性能が低下していた。このため同社等は、ボイド型枠を「波型」にすることで共振現象を低減するサイレントボイドスラブを開発。共同住宅で優れた遮音性能を確保する中空合成スラブ(ハーフPCa板を用いたボイドスラブ)として、多くのデベロッパーで採用されている。
一方、より厚さの薄いスラブへの適用やスラブ重量の軽減などの課題があったことから、同社は今回発表した、新しい中空合成スラブ「サイレントLFR」を開発。波形を多重に組み合わせた、独自形状のボイド型枠としたことで、ボイド型枠上面での共振現象を抑制。実物大の試験体を用いた実験では、サイレントボイドスラブと同様、矩形ボイド型枠を用いた中空合成スラブよりも優れた床衝撃音遮断性能であることを確認したという。また、ボイド型枠部分の体積がサイレントボイドよりも増えたことでコンクリート量が少なくなり、等価重量スラブ厚に換算して約5mm減とスラブ重量の軽減に寄与している。適用範囲は、サイレントボイドスラブがスラブ厚さ250mm以上であるのに対し、サイレントLFRは230mmからと、適用範囲を拡大した。国土交通大臣認定の「2時間耐火認定」も取得。販売はフジモリ産業が担当する。
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