住友林業(東京都千代田区)は2月14日、2021年12月期決算(連結)と合わせて、2030年に向けた長期ビジョン「Mission TREEING 2030」と、中期経営計画「Mission TREEING 2030 Phase1」を発表した。
事業方針として、①森と木の価値を最大限に生かした脱炭素化とサーキュラーバイオエコノミーの確立、②グローバル展開の進化、③変革と新たな価値創造への挑戦、④成長に向けた事業基盤の改革――を掲げた。2030年度計画(2030/12期)の主な数値目標として、▽経常利益(数理差異除く)2500億円(2021年度実績1345億円)、▽森林保有・管理面積50万ha(同27.9万ha)、▽年間住宅供給戸数5万戸(同2.7万戸)――を設定。新たに設立する木材コンビナートの国産材使用量を100万m3/年とした。
建築分野では、「脱炭素設計のスタンダード化」を進める。ZEH、ZEBの推進に加え、国内では環境フラッグシップモデルLCCM住宅(建設時の排出量は鉄骨造比約マイナス40%、炭素固定量3.7倍)を販売。海外向けには「ネットゼロカーボンビル」(木造オフィス)を供給する。
住宅は注文・分譲合わせて年間1万戸を目標にシェアを拡大。非住宅はロードサイド店舗、公共施設、介護施設などを積極的に受注する。木造の割合を床面積ベースで住宅市場は69%、非住宅市場は10%を維持・拡大しCO2排出量削減に貢献する。また、海外での2030年の住宅供給戸数4万戸(米国2万3000戸、豪州5500戸、その他1万1500戸)を目指す。
長期ビジョン達成に向けた2022年から3年間の中期経営計画では、2024年12月期末に売上高1兆7700億円、経常利益1730億円、親会社株主に帰属する純利益1160億円、ROE15%以上を目指す。
■連結業績は過去最高益
同日発表した2021年12月期(2021年1月1日~12月31日)の連結業績は、売上高1兆3859億3000万円、営業利益1136億5100万円、経常利益1377億5100万円、当期純利益871億7500万円。海外住宅・不動産事業が好調に推移し、過去最高益となった。
国内住宅事業は、戸建注文住宅の受注金額が3583億円(2020年3月期比23.8%増)・棟数8663棟(同12.1%増)、売上金額3356億円(同4.8%増)・棟数8347棟(同12.4%増)だった。
コロナ禍での営業力強化策の一環としてWEBマーケティングを強化し、設計力を活かしたライフスタイルの変化に対応したプランの提案に注力。また、ユーザーの環境意識の高まりに対応して、ZEH仕様の受注拡大に努めたことなどから好調に推移した。
ただし、木材を中心とした建設資材のコスト上昇による利益率の低下から、戸建注文事業と賃貸住宅事業の業績は伸び悩み、住宅・建築事業の売上高5109億3900万円(同7.8%増)、経常利益196億4100万円(同13.0%減)となった。
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