「寒い暮らしは、もう我慢できない」とリフォームを依頼してくる人が圧倒的に多いと話すのは、寒冷地・長野県で “断熱職人” の看板を掲げて既存住宅の性能向上リフォームに力を注ぐReborn(長野市)の塩原真貴さんだ。精密なインスペクションと現場を見極めた的確な計画(プランニング)、そして精度の高い施工技術によって「本当に暖かい家」をつくる。
『あの寒かった家がこんなに暖かくなるなんて、まるで魔法のよう』と驚く施主の顔を見るのがリフォームの醍醐味(だいごみ)ですね」と塩原さんは笑う。
“発想” に近い「計画」
Rebornが得意とするのが、温熱環境や耐震性など既存住宅の性能を引き上げる断熱・耐震改修だ。塩原さんは、断熱・耐震改修の最重要ポイントとして「計画」を挙げる。現状、インスペクションの結果、コストを抑えながら最大限の効果を生むための施工方法、家族(施主)のライフスタイルなど、複雑な要素を加味して計画を立てる必要があるからだ。
特に改修は、新築と違い、現場ごとに建物の状態などが大きく異なるため、暮らす人の快適性を担保する温熱環境などについて、狙った(設計通りの)性能を実現するための施工が難しい。塩原さんは「難しいからこそ、やりがいがある。計画という言葉で呼んではいるが、やっている内容としては “発想” に近いことだと思っています」と説明する。計画がまとまったあとも、設計から現場の管理まで、全て自身が手掛ける。「設計から施工までワンストップ(1人)で見ることができる多能工的な能力はリフォームや改修には必須」と指摘する。
スケルトンにせずコスト抑える
Rebornが行う改修では、既存の建物を「スケルトン」にはしない。スケルトンにすると解体作業や産廃処分といった工程が増え、コストが大幅に上がってしまうからだ。塩原さんは性能向上を主目的とする大規模リフォーム(断熱・耐震改修)が、なかなか広がらない背景に、スケルトンリフォームによるコスト高があるのではないかと分析する。「つくり手が、躯体の状態の確認や性能の確保などをなるべく簡単に行うためにはいいかもしれないが、コストのしわ寄せは施主にいく。知識と経験、技術によってスケルトンにしなくても同じことができるなら、コストを抑える努力をすべき」と塩原さんは訴える。
省エネで快適な暮らしを提案
Rebornの断熱・耐震改修では、断熱材は高性能グラスウールを採用し、既存の建物の壁の外側に・・・・【残り4071文字、写真11点など】
続きは『新建ハウジング別冊・プラスワン2018年11月号/いま求められる「本気の耐震」』(2018年10月30日発行)P34~37に掲載しています。
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