log buildは約3年前から、職種を問わず従業員が固定されたデスクを持たずに、自由に着席場所を選んで仕事をする「フリーアドレス」を導入している。従来は各座席に固定電話とデスクトップパソコンを設置し、山積みされた紙の資料を見ながら仕事をするのが当たり前であったが、業務のICT化を大きく推進するために、導入に踏み切った。代表の中堀健一さんは「スマートビルダーにはフリーアドレスが必須条件」と述べる。
※この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン/コロナで見えてきたスマートビルダー&スマートハウス』(2021年7月30日発行)をデジタル配信用に再編集したものです。
DX化や業務効率化、生産性の向上といった仕事の付加価値を高めていく概念よりも先に、いつ発生するかわからない自然災害への対策が大きく関係しているという。中堀健一さんは「スタートは大規模災害への備えだった」と明かす。
同社はICT化に取り組む前から一部はクラウドなどを利用していたものの、ペーパーレス化がほぼ進んでおらず、業務で使う資料や重要データは紙での保存が中心だった。中堀さんは「リスク対策として、仮に事務所が被災しても業務を継続させること、これが地域工務店として必須であり最初は危機管理を入り口に始めた」と説明する。
まず取り組んだのは、約150m2の本社事務所をフリーアドレス制とし、部署や職種を問わず、各種端末のセキュリティ対策を徹底管理した上で、全社員にノートパソコンとAppleのタブレット端末iPad、文字を書いたり図面を描いたりできる電子型ペンApple pencilを貸与した。
自らファーストペンギンに
フリーアドレスを実現するのは、前提条件として、いつでも・どこでも仕事ができる体制を構築するのが必須だ。同時にリモートワークも可能とする体制を構築することが重要だという。そのためには、社内のあらゆる業務をペーパーレス化する必要があり、デジタル化を推し進めなければならない。
中堀さんは「当初は社内で紙から抜け出せない状況が続いた。そこで私がファーストペンギン(天敵が潜む海に、魚を求めて飛び込む1羽目)になり、自ら積極的に取り組んでいった」と述べる。次第に1人、2人と続くようにデジタル化の波が社内で加速していき、社員の3割を超えた時期から、残りがその社員らと円滑に仕事をするために、後を追うように普及していった。
中堀さんは「まずはハードとしての社内環境をフリーアドレス化する順序を踏むことでICT化が進み、その流れの中でデジタル化が浸透する。逆にこのステップを誤って、いきなりツールなどを導入してもシナジー効果は生まれない」と指摘。その入り口としてフリーアドレス化は必須とした。
こうした社内体制を構築していたため、昨年の新型コロナに伴う緊急事態宣言の時に、ほぼ全ての社員がテレワーク勤務になっても業務に支障は出なかったという・・・・
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続きは、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン/コロナで見えてきたスマートビルダー&スマートハウス』(2021年7月30日発行)P.42に掲載しています。
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