ウレタンフォーム工業会はこのほど、供給が厳しくなっているウレタンフォーム生産にかかる原材料の調達に関する状況について、報告した。
ウレタンフォームは、コールドチェーン分野、土木・建築分野、プラント分野等、裾野の広い産業で使用されており、昨年秋以降、原料の調達が厳しくなったことから、ウレタンフォームメーカー各社が、取引先など関係各社へ個別に説明をしてきた。しかし、関係分野の業界団体から、ウレタン業界全体としての状況説明を求める声もあったため、今回、このような文章での発表となった。
発泡剤に関しては数年前から温暖化係数が低く環境に優しいHFO(ハイドロフルオロオレフィン)が主流となっているが、昨年8月末に米国南部を襲ったハリケーンの影響で、同発泡剤製造企業の工場が被災。世界的に供給がタイトとなった。製造設備は概ね復旧したものの、粗原料調達先も被災したこともあり、十分な稼働に至っていない。
また米国以外の工場においては、中国の電力供給制限の影響と半導体やリチウムイオン電池分野での需要増加等により、粗原料を含めた主要原料が不足していることから、中国工場においても限定的な生産を余儀なくされている。
昨年末は、在庫の払い出しによる綱渡り状態で、数量・納期も希望通りの調達はできなかった状態だったが、1月中旬には今後の供給の目途が全く立たない状態となっている。
難燃剤・整泡剤等はウレタン原液に含まれる難燃剤(リン系)や整泡剤(シリコン)も主原料の大部分は中国で生産されており、中国の電力供給制限の影響により供給がタイトな状況であることに変わりない。
ウレタンフォームの主要原料であるイソシアネートや一部のポリオールも、景気回復を背景に供給がタイトとなっており、状況は厳しくなると予測している。
これらの原料調達難により、特にHFOを発泡剤とする硬質ウレタンフォームの製造・出荷は非常に厳しい状態に追い込まれ、取引先希望に沿えない事態も発生。ウレタンフォーム工業会は「ご不便をおかけしておりますが、以上の状況につき、ご理解とご協力賜りますよう、お願い申し上げます」と理解を求めた。
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