住宅性能表示に断熱性能等級6・7が設定されるなど、高断熱化が進んでいる。断熱性能が高まると日射などの自然エネルギー利用がしやすくなる。一方で自然エネルギーは低密度でバラツキが大きく設計に組み込むのが難しい。森林文化アカデミー准教授・辻充孝氏に自然エネルギーの活用方法の基本について聞いた。
Q.通風の効果はどう評価すればよいのか
A.通風は温熱環境を整える効果は低いが、冷房にない心地よさがある。
全館空調が普及するなか、暮らしの質を高めるプレミアムな要素として再評価される可能性がある
◉昨今は全館空調の普及が進むなど、夏の涼を通風で得るという考え方が廃れてきている。人が涼しさを感じるのには、一定以上の風速で直接風を受ける必要がある。それを意図的に実現するのは難しい。風はどこから吹いてくるか予測できないからだ
◉とはいえ通風の心地よさはエアコンの心地よさを凌ぐ。夏にはエアコンを用いることを前提としつつ、補助的に通風を得られるようにするのが現実的だ
◉風向きの読みにくさを考えると、窓の設置箇所を多めにしたい。その上で入口と出口がセットになるように窓を配置すると、さまざまな風向きに対応しやすい。また地窓や高窓を設けると高低差による重力換気が働き、初夏や初秋のころに熱気を排出しやすくなって快適性が増す
◉通風は温熱環境を整えるうえでの効果は低いが、心地よさの演出という意味では非常に価値がある。全館空調が普及するなか、暮らしの質を高めるプレミアムな価値として再び光が当たる可能性がある・・・
続きは『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン/環境問題・エコハウスのウソ・ホント』(2022年1月30日発行)P44~に掲載しています。
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