腕のいい大工が叩けばいい家ができる。地域工務店に根強く残る考え方だ。高性能化が進み、消費者が瑕疵に敏感になった昨今、このやり方には限界がある。中小工務店が取り組むべき、職人技能を生かした合理的な施工管理の手法について、平松建築代表の平松明展さんに聞いた。
現場監査をきっかけに体制を整える
同社社長の平松さんは大工出身。大規模リフォームを多数手掛けた経験から長期耐久性を重視した家づくりを追求
➡独自の通気の仕組みをもつWB工法と繰り返しの地震に強いコーチパネルを採用
現場の体制は大工経験者のベテラン監督と現場経験2年の若手監督の2人。それを大工が補助
➡この体制で昨年は17棟を完工。20棟程度は問題ない
情報共有を合理化するためにダンドリワークを、施工品質を保つためにネクストステージの現場監査を導入
現場監査の導入は8年前。会社の成長に伴い施工管理の仕組みが必要だと考えた
➡当時のやり方は現場監督が現場に付ききり。着工棟数が伸びたら現場が回らなくなると感じていた
現場監査の導入後、施工管理の体制や仕組みは少しずつ整っていき、現在に至る
役割分担により効率的に施工管理
2人の監督は役割分担を変えている。ベテラン監督は原価管理や工程管理。自社検査や監査の担当は若手監督
➡標準施工手引書(以下、手引書)があることで若手監督でも検査が機能する
若手監督が施工管理の業務に充てる時間は約120時間で、そのうち現場回りが約40時間。効率的に動くことを重視
ベテラン監督は現場に行く回数を極力減らしている。職人が監督を呼び付ける慣例を改めるためだ
➡ 現場に行く日を決めておき、職人はその日にまとめて質疑などを行う。日常の連絡や報告はダンドリワークで済ませる
一方で職人の働き方は気持ちに左右される。監督で対話して調和を保つのも重要。現場に顔を出す適切な頻度を模索中
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この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン2021年6月号 スマート経営に必須の補助金・助成金活用ガイド』(2021年5月30日発行)P.172~175に掲載しています。
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