住宅性能表示に断熱性能等級6・7が設定されるなど、高断熱化が進んでいる。断熱性能が高まると日射などの自然エネルギー利用がしやすくなる。一方で自然エネルギーは低密度でバラツキが大きく設計に組み込むのが難しい。森林文化アカデミー准教授・辻充孝氏に自然エネルギーの活用方法の基本について聞いた。
Q.1 最低室温は何℃と考えればよいのか
A.ヒートショックを起こさない室温。年代などにより下限となる室温が異なるので、住まい手の年齢などを踏まえて検討する。少なくとも15℃以上となるだろう
◉ 住宅性能表示における等級6・7が設定されるが、高断熱化するほど利用価値が高まるのが日射だ。日射熱取得を最大化することで暖房負荷をかなり減らすことができる
◉ 日射の多い地域では、非居室や起床時・就寝時などに一定の温度低下やエリアごとの温度ムラを許容することで暖房期間を大幅に短縮し、暖房面積も減らせる。結果として快適性を損なわずに省エネルギーが実現できる
◉ その際、最低室温をどこまで許容できるかが検討題となる。それにより暖房の消費エネルギーが大きく変わってくる。考え方としては健康に影響をきたさない範囲となる。目安として[図1]のような室温と血圧の関係が参考になる
◉ 年代などにより室温の健康への影響や好みは異なる。住まい手の年齢や加齢も踏まえて冬に目標となる自然室温を設定し、シミュレーションで確認しておきたい
Q.2 庇の長さは夏と冬のどちらを重視するのか
A. 日射が斜めにガラスに当たると反射の作用で日射の一部しか室内に入らない。庇の影響は限定的なので、冬の日射取得を最大化するほうを優先するのが得策
◉ 日射熱取得と日射遮蔽はトレードオフの関係にある。大まかには夏場に1割減らすと冬場には1割弱減る。冬の日射熱取得を最大化する際に庇の長さが問題となる。夏の暑さを抑えると日射遮蔽を優先して庇を深くすることになりやすい
◉ 最近、この分野の研究が進み、昨年の省エネ法の改正に反映された・・・
続きは『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン/環境問題・エコハウスのウソ・ホント』(2022年1月30日発行)P34~に掲載しています。
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