独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE、長谷川史彦理事長、本所:東京都渋谷区)は1月31日、国内で初めて大型蓄電池が水没した際の製品状態を検証するための試験を実施したと発表した。集中豪雨による浸水被害を想定した試験での安全性を確認した。
カーボンニュートラル実現に向け、太陽光発電等の再生可能エネルギーの普及が推進されているが、安定的なエネルギー供給のための「大型蓄電池システム」の活用と安全確保が不可欠となっている。一方で、近年は、集中豪雨や河川氾濫、高潮等の頻発により、蓄電池システムが水没する被害が急増している。
しかし、水没に関する蓄電池システムの安全性評価の適当な基準が存在しないことから、NITEは、水没被害後の蓄電池システムの安全な処置方法を確立するため、学術機関や有識者との議論を重ねてきたという。
その上で、集中豪雨による浸水被害(床上浸水レベル)を想定した水没試験の試験条件を設定。昨年10月末にエリーパワー(東京都品川区)と共同で水没試験を実施した。具体的には、同社製の住宅用蓄電池システムの使用中に浸水被害に遭ったケースを想定。充電状態100%の系統電源・分電盤を接続した状態で、試験体底部から50cm水没させ、水位変化として1~2cm/分の速度で注水し、水没状態で48時間、排水後48時間の状態を観察した。その結果、蓄電池システム由来の二次災害は起きず、安全にシステムが停止することを確認したとしている。
NITEは、今回の試験を契機として、様々な製品の水没試験、データ分析を行って蓄電池システムの安全性確認を進めていく考え。蓄電池システム関連の事業者等の協力を募り、同一条件下で様々な試験を異なる製品に対して実施し、試験データの収集・分析を進めていくとしている。
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