LIXIL(東京都江東区)はこのほど、「脱炭素社会の実現に向けた住宅の高性能化」に関する報告書を公表した。
報告書では、住宅は高いCO2削減ポテンシャルが見込まれる分野であること、住宅の高性能化のキーワードとなるのが「断熱」であること、欧州などと比較し、日本の住宅の高性能化が遅れていることなどが示されている。具体的な内容は以下の通り。
住宅は高いCO2削減ポテンシャルが見込まれる分野で、ZEHのように高性能化をはかることで、電気自動車への乗り換えなど他の選択肢を上回る CO2削減効果が期待できる。
そして、高性能化のキーワードとなるのが「断熱」である。窓、床、壁、天井など外気と接する部分の断熱性能を高めることで、家庭のCO2排出源の4分の1を占める冷暖房のエネルギー消費を大幅に抑えることが可能になる。仮に、日本の住宅の約7割で使用されている単板ガラスをトリプルガラスの窓に換えた場合、熱の流出をおよそ80%抑え、CO2削減量は年間1509万トンにのぼると推計される。
日本の住宅の高性能化は欧州などに比べて遅れており、日本の既存住宅の約9割は現行の省エネ基準を満たしていない。独自に行った住まいに関する意識調査によると、断熱への関心は高い人が多いものの、「断熱リフォームをしたことも、検討したこともない」との回答が8割以上にのぼるなど、行動に移すまでは至っていないのが実情である。
同社では、こういった状況を踏まえた上で、脱炭素化社会の実現のためには、住宅の高性能化は避けて通れない問題であるとし、なかでも断熱効果の高い「窓」の果たす役割は非常に大きいとしている。実際、複層ガラス以上の省エネ窓の市場は世界でも確実に拡大しており、その市場規模は2027年に2019年比8.1%の年平均成長率で成長すると見込まれている。
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