帝国データバンクは1月26日、企業の価格転嫁の動向調査(2021年12月)の結果を公表した。新型コロナウイルスの感染拡大により海上運賃や、木材や金属などの原材料価格の高騰による企業活動への影響が懸念されることから、2021年12月16日~2022年1月5日に、全国2万3826社に調査を実施した(回答率45.2%)。
仕入単価が前年同月と比べて上昇した企業は64.2%で、リーマン・ショック(2008年9月)以来の水準(65.5%)まで上昇。「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(92.7%)、「化学品製造」(83.3%)、「機械製造」(82.0%)、「電気機械製造」(81.4%)、「建材・家具、窯業・土石製品製造」(80.3%)で8割超の企業が上昇していると回答した。
仕入単価が上昇した企業のうち、販売単価も上昇したとする企業は43.8%。一方、「販売単価が変わらない」47.9%、「低下した」6.3%で、半数を超える企業では価格転嫁できていない状況にあった。「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(87.2%)「建材・家具、窯業・土石製品製造」(52.7%)、「化学品製造」(51.1%)で販売単価が上昇傾向にあった。
回答企業からは、「品薄な商品の値上げが浸透」(鉄鋼卸売)、「コスト増は否めないが、製品の引合いは好調で、製品単価の引き上げにより収益は確保できている」(合板製造)、「原材料価格上昇は痛手を理由とした製品価格の値上げが比較的受け入れられている。買い控えなどは起きていない」(石油化学系基礎製品製造)といった声がある一方、「原材料、部品価格の高騰や入手困難な状況で先行きが読めない」(電気計測器製造)、「ウッドショックによる原材料の価格高騰で、顧客の動きに少し鈍りがみえる」(木造建築工事)など、先行きを懸念する意見も見られた。
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