地域という単位を意識した社会活動が活発化している。そのなかで注目を集めるのが森林資源としての木材。設計事務所と製材所を連動させた新しいサプライチェーンに取り組む、建築家の石田伸一氏に地域材を最大限に活用するための考え方と手法を聞いた。
Q.1 経営者はどんな経歴なの?
A. 大手ビルダー出身の建築家。地域材を使った企画住宅を軌道に乗せた後に設計事務所として独立。昨年、取引先の製材所の事業を引き継いだ
◉ 石田伸一氏は新潟県十日町氏出身の建築家。大手ビルダーで営業や商品企画で成果を上げ、役員を務めた。そのなかで地域材志向に目覚めて社内ベンチャーを立ち上げ
➡ 地元の製材所の協力を経て地域材を多用した企画住宅を商品化して軌道に乗せる
◉ 2018年に石田伸一建築事務所(SIA inc.)として独立後、2020年より谷内製材から事業を譲渡されるかたちで製材所UC Factoryを立ち上げる
◉ 現在は石田伸一建築事務所SIA inc. と製材所UC Factoryの2社の代表。前者は設計とコンサルティング業務。社員は石田氏のほか設計者5名と大工が1名。自社の設計物件は年間15棟程度。後者は伐採から製材、家具や小屋を含む製品販売を手掛ける。社員は6名
Q.2 どうやって製材所を立ち上げたの?
A. 大取引先の谷内製材が廃業することになり、同業者に事業譲渡する話が流れたので、石田氏から谷内製材に引き継ぎを打診した
◉ 2020年3月に外壁材などの製材を依頼していた谷内製材が木材販売の機能を残して廃業することに
➡ 同業者が引き継ぐ話が流れたので石田氏が名乗りを上げた
➡ 製材所の開設には巨額の設備投資が必要。普通のやり方で一から立ち上げるのは無理
◉コロナ対策の事業融資を受けることができたため、それを運転資金とし、製材所の社員がそのまま新会社UC Factoryに移籍するかたちで事業を引き継いだ
◉ 新潟の製材所は小さく、数が減っている。地域から製材所がなくなると森林資源の循環が途絶える。それを防ぎたいという思いもあった・・・・・
この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン2021年10月号/健康エコ 国産材が主役のサスティナブルな家づくり』(2021年9月30日発行)P.136〜138に掲載しています。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。