分譲住宅を購入した顧客から「太陽光発電の発電量がシミュレーションより少ない」との連絡があった。販売時に「現状有姿」という説明をし、予想発電量の数値もメーカーの算出したもので実際の発電量を保証するものではない旨を伝えたはずだった。結局、無料で発電パネルを増設するはめになり…。【 住宅ライター:渡辺圭彦】
問題となったのは、M社が開発を手がけたミニ分譲10棟のうち、最後に販売した1棟だ。モデルハウスとして数カ月使用してからの販売だったこともあり、「新築時から引き渡しまでの間に内外装や設備など物件の状況に変化があったとしても、その状況のままで引き渡す」という意味で「現状有姿」という説明を行ったはずだったのだが…。
購入したWさんは高校の理科の教師という職業もあってか、数値や性能に強いこだわりがあり、屋根に設置した太陽光発電の発電量を入居から1年間、記録。そのうえで発電量のシミュレーションを行うソフトを自分で探してきて計算した結果と1年間の発電量の記録を突きつけてきて、こう言ったのだという。
「本来ならこれだけの数値が出るはずだ。購入前に見せられた想定の数値でも、そのくらいは発電量があるということだった。しかし、実際にはこの程度しか発電してないじゃないか。これはどういうことなんだ!」
営業が作成した資料に注意書きがない! なぜ…
M社はさっそく担当者を向かわせ、ヒアリングと調査を実施。電気系統やパネルに異常はなし。月別の発電量を確認すると1~3月だけが想定より低い数値となっていた。当時の担当者はこのように振り返る。
「たぶん太陽の高度が低い時期になると、隣地の建物がパネルに影を落とす時間帯が出てくるのでそのような結果になったのでしょう」。
そもそも、Wさんが自分で実施したシミュレーションソフトはそうした隣地の状況が反映されていないし、購入前に提示した発電量の想定値も「あくまでもメーカーの算出したもので実際の数値とは異なる場合がある」旨を明記してあったはずだ。
「ところがWさんの手にあった想定値の資料は・・・
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