千葉大学(千葉市)予防医学センターの中山誠健特任准教授らによる研究グループは、169人を対象とした脳波測定実験によって、化学物質濃度が極めて低い室内環境では休息時のリラックス状態を向上させる効果があることを実証した。
実験は、内外装の見た目や環境が同等で化学物質濃度だけが異なる2棟の実験住宅棟で実施。20分間の作業(計算や暗記課題)と10分間の休息(目を閉じて安静にする)時間をもうけて脳波を測定した。
その結果、化学物質濃度が極めて低い空間においては、一般的な住環境の1.7倍にあたる85.9%の人が「室内の匂いが気にならない」と評価(一般的な住環境では50%)。空気環境については73.2%が「満足」と評価(同54.2%)。リラックス快適性については76.0%が「リラックスでき快適」と評価した(同64.2%)。また、化学物質低濃が低い空間では、リラックス状態を示す脳波であるα波が増加することもわかった。その割合は一般的な住環境に比べて1.6倍多かった。
室内の化学物質濃度を低減させることは、シックハウス症候群の発症を予防する方法の一つであることが報告されている。一方で、化学物質濃度を低減させたことによる空気環境の向上が、健康維持や増進効果につながるとする調査・報告はこれまでなかったという。同研究グループは、今回の実験により、化学物質の濃度を低減させることは、シックハウス症候群の予防だけでなく、休息時のリラックス効果を高める効果もあることが明らかになったとする。
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