アフターやメンテナンスの業務は、新築以上に対応の迅速さやきめ細かさが求められる分、担当者の仕事はハードになりがちだ。しかし、そう簡単に人も増やせないと悩む工務店もいるのではないか。
相羽建設(東京都東村山市)は、SNSのグループ機能と工事管理システムで、アフター業務を社内で見える化。総務やパートスタッフでも的確に対応できる状況をつくりあげている。
一人に集中していたアフター業務
2011年、同社はメンテナンス・リフォーム事業部を設立したが、当初の部員は佐々木清さん1人でスタート。OB顧客の窓口は、新築時に担当した現場監督にしていたが、多忙で連絡がつきにくかったり、退職で担当者が不明になったパターンも多く、社内では「とにかく佐々木さんに連絡する」が常態化していた。
佐々木さんが、メンテナンス業務の特性として挙げるのが「自分の予定とは全く無関係に仕事が発生する」こと。顧客が、自宅のトラブルを早く解決したいと思うのは当然。しかし、工務店の担当者にとっては、他の業務も滞りなく進めなくてはならない。負担は増すばかりだ。
メンテナンスが「(新築や大規模リフォームに)隠れてしまう」存在なのも、佐々木さんの心をもやもやさせていた。自分の仕事が知られていないのは「担当者として寂しい」。やりがいも、ハードな仕事の中で見失いかけていた。
SNSで業務見える化して迅速対応
佐々木さんはまず、事業部の仕事を知ってもらうため、フェイスブックのグループ機能を利用して、業務の見える化を図った。全社員だけが見られる秘密のグループ「【解決!】アイバの参考書」をつくり、メンテナンスに関わる社内外のやり取りを共有している。
顧客からの連絡を受けたスタッフは、その内容をまずはグループに投稿するのがルールだ。投稿を元に佐々木さんが対応するが、他のスタッフが自主的に動き、今では佐々木さんが把握する前に対応が完了していることもある。
同時に総務や、モデルハウスなどの拠点に勤務するパート社員に対し、電話応対の手法をコーチング。OB顧客は、必ず担当者に連絡するとは限らない。本社や各拠点で電話を受けることの多い総務やパート社員が、正確に内容をヒアリングできれば「次の一手も正確に打てる」。
パートだけでも対応可能に
現在、メンテナンス・リフォーム事業部は、佐々木さんに加え男性の現場監督が2人で、その他の業務は女性のパート社員が担当している。顧客対応はもちろん、見積もりや工事の手配を担当することも。「家守りの会」(会員制のメンテナンスサービス)の運営も、8割はパート社員の役割だ。
パート社員の戦力化を支えているのは、工事管理システム「建て役者」と・・・・
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この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン2021年8月号 コロナで見えてきた スマートビルダー&スマートハウス』(2021年7月30日発行)P.30~に掲載しています。
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