外張り断熱は断熱・気密層を連結しやすく、高性能化を図りやすい。この特性を生かし、全館空調を組み込んだ住宅で支持されているのが埼玉・上尾の佐藤工務店。同社代表の佐藤喜夫氏に高性能化のポイントを聞いた。
外張り断熱を強化してG2化
◉断熱工法は外張り断熱を基調とし、より高性能化を図るときには壁に充填断熱を組み合わせている
◉外張り断熱の採用理由は作業性のよさ。外側から発プラ系断熱材で躯体を覆うので断熱・気密層を連続させやすい。入隅や出隅などの納まりも平易で熱橋も防げる
◉断熱気密施工は熟練の社員大工が行う。施工品質は安定しており、同社が手掛ける住宅のC値は平均0.1
◉高断熱高気密の躯体を乾式レンガやガルバリウム鋼板、木板などの外壁とガルバリウム鋼板に天然石粒を吹き付けた屋根材で覆っている
基礎①
床下エアコン前提で基礎断熱に
◉建物下部は基礎断熱を採用。床下エアコン + パッシブ換気を採用していることと気密パッキンにより気密性能が確保しやすいため
◉建物下部は基礎外断熱+内断熱。基礎の外側に防蟻断熱材のスタイロフォームAT50mmを打ち込み、内側にネオマフォーム45mm厚を接着。基礎底盤はネオマフォーム45mm厚・幅900mm
◉基礎外断熱としたのはアンカーボルトが熱橋になり、結露するのを防ぐため
➡改修現場ではアンカーボルトが結露して土台が腐朽している事例を散見する
◉基礎外断熱で断熱厚を増していくと基礎が壁から飛び出る。基礎外断熱は50mm厚に抑えて内側に断熱材を付加して性能を高めた
➡外側の断熱材を50mm厚としたのは既製品の水切りが使える厚みであるため。水切りを製作するとコストが嵩む
◉少し前まで基礎外側の断熱材が50mm厚、内側が20mm厚。その住宅を床下エアコン運転中に外部からサーモカメラで撮影。基礎がオレンジ色となり熱漏れが判明
➡計算してみると基礎からの熱損失が想像以上に多かったため、今の仕様に変えた
➡サーモカメラは断熱工法や仕様を検証するツールとして有効。高性能住宅を手掛ける上で必須アイテムといえる
基礎②
基礎外断熱は型枠の設置方法にも配慮
◉基礎外断熱はシロアリ対策が必須。基礎外側の断熱材と基礎立ち上がりに隙間が生じるとシロアリの侵入路になる。断熱材は打ち込みとして密着させる
◉断熱材は型枠の塗装合板に釘で、鋼製型枠にはテープで仮固定する(写真:左)。さらに断熱材同士の継ぎ目に防蟻シーリングを施す(写真:右)
➡型枠に確実に固定しないと打設時に側圧を受けたり、浮かされたりする可能性がある・・・・【本誌では、施工写真17枚、矩計図など画像も多数掲載しています】
この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン2021年8月号 コロナで見えてきた スマートビルダー&スマートハウス/攻めと守りの技術研究所・初めてのG2住宅』(2021年7月30日発行)P.112~に掲載しています。
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