前回は、コストダウンの本質として、まずは全力で「素」の部分を作ることが大切であることをお話ししました。では、顧客に支持される「素」の家を作るためには、どういうふうに考えていけば良いのでしょうか。今回はそんなお話をします。
[1]本質から考える工務店経営1 コストダウンの本質
[2]本質から考える工務店経営2 素ラーメンをつくる
結論から言ってしまうと、方向性としては「プロダクトアウト」、つくり手側からの提案として考えます。間違っても顧客のニーズから考え始めるマーケットインの方から考えてはいけません。
とてもわかりやすいので、引き続きラーメンに例えてご説明します。なぜプロダクトアウトの方から考えなければならないのかというと、ずばり、「素」ラーメンだから。ごまかしがきかないからです。
「素」ラーメンは麺とスープだけの勝負です。旨いかまずいか、好きか嫌いか、お客様もはっきり選ぶことができる。住宅で言えば素材や設備、工法なら性能として数字で表せる部分などですね。これらはシロウト相手にもごまかしがきかない。競合相手との差も理解してもらいやすい。だからいったん納得してもらえれば、強いのです。
逆に言うと「全部入り」ラーメンは、ごまかせるのですね。ごまかすというと言葉が過ぎますが、あれもこれもと比べる部分がたくさんありすぎると、お客様も判断ができない。つまり、似たような競合相手がある場合は勝負が付きにくい。同じような内容であれば、知名度の差で持って行かれたりします。
日本のラーメンは独自の発達を遂げているそうで、実にバラエティに富んでいます。
確かにスープだけでも塩、しょうゆ、豚骨、味噌、変わったところだとトマト味なんてのもありますし、麺にしても細麺、太麺、縮れ麺、はたまた、支那ソバ、油ソバ、つけ麺というちょっと別ジャンルもあります。
書いていて段々お腹がすいてきました(笑)。
ご理解頂きたいことは何かといいますと、いろいろ種類はあるけれど、万人が納得する「正解」のラーメンはない、ということです。
で、それは住宅においても、同様です。自然素材、国産素材、集成材なのか国産無垢材なのか。高気密高断熱というなら、断熱材も化学系・自然系それぞれです。
在来にしても金物、木造ラーメン、手刻み、仕口工法、さらにプレカット、ツーバイ、プレハブ、コンクリートも可能です。
どれが「正解」なのか?といえば、どれも正しいと言えますし、どれも正しくないとも言える。スープと麺を選ぶのに、とてもよく似ているのですね。
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