国土交通省は1月13日、2021年度下請取引等実態調査の結果を公表した。工期の適正化や現場技術者のルールの合理化などを図った建設業法改正(2020年10月1日施行)後、初の実態調査。下請負人に発注したことのある建設業者(1万2427業者)について、適正回答業者率(指導対象となる29の調査項目について、すべて適正な取引を行っていると回答した割合)は10.8%に止まり、未だ多数の建設業者が適正な取引を行っていない状況が従来同様だという実態が浮き彫りになった。「建設業の取引において重要な項目でも適正回答率は低い状況」だという。
調査対象は1万8000業者で、2020年10月1日~2021年6月30日の取引について、郵送による書面調査を実施した。回収率79.7%(1万4338業者)。調査内容は、元請負人と下請負人の間や発注者(施主)と元請負人の間の取引の実態等、▽見積方法(法定福利費、労務費、工期)の状況、▽約束手形の期間短縮や電子化の状況、▽技能労働者への賃金支払状況――等。
■技能労働者の賃金引上げ3.5ポイント増加
今回の調査で新規の設問項目の「労務費の内訳を明示した見積書」に関しては、67.3%が内訳を明示した見積書を交付していると回答。「工期」に関しては94.7%が、「追加工事等が生じた場合、工期変更を認めている」と回答した。また「約束手形」の手形期間を60日(予定・検討中も含む)としている建設業者は73.8%だった。
技能労働者への賃金支払状況について、「賃金水準を引き上げた(引き上げる予定がある)」との回答は82.8 %で、前年度から3.5ポイント増加。理由としては、「技能労働者の技能と経験に応じて給与を引き上げ、処遇を改善する必要があると考えたため」が39.4%で最も多かった。
国交省は、指導対象調査項目について、不適正な取引に該当する回答をした1万1084業者に対し、指導票を発送し、是正措置を講じるよう指導。さらに、必要に応じて、許可行政庁による立入検査等を実施する。また、講習会の場を設けるなど、建設業法令遵守の周知徹底を図っていくとしている。
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