全米住宅建設業協会(National Association of Home Builders, NAHB)がこのほど公表した概算で、住宅建設に使用される材木の価格は過去4か月間で3倍近くまで上昇し、アメリカにおける平均的な新築一戸建て住宅の価格を18600米ドル(約213万円)以上押し上げたことがわかった。価格高騰の影響は新築集合住宅にまで及んでおり、市場価格も7300米ドル(約83.8万円)ほど上乗せされている。
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シカゴ・マーカンタイル取引所(アメリカ・イリノイ州シカゴ)における材木先物価格は昨年5月中旬、1000ボードフィート(約2.36立方メートル)あたり1600米ドル(約18.2万円)以上の過去最高値を記録。その後は下落に転じ、8月中旬には500米ドル(約5.7万円)を切るほどだったが、根強い需要に支えられて再び反転した。1月11日時点で1239米ドル(約14万円)という高水準まで値を戻しており、価格は依然として上昇傾向にある。
材木市場の未曾有の価格変動は、新型コロナウイルスの感染拡大に端を発する。2020年の春頃、コロナ禍の影響で経済活動が停滞することを見越した生産業者や製材所は材木の減産を進めていたが、在宅時間の増加が住宅需要やリフォーム需要、DIY需要を刺激したことで材木需要が大幅に上昇。たちまち材木供給は逼迫し、ウッドショックに繋がった。
材木価格の高騰が需要を一時落ち着かせはしたものの、増産体制をすぐに整えることが難しい林業の性質や激しい価格変動によるサプライチェーンの混乱が災いし、問題が顕在化して1年以上が経過した今でも供給の逼迫を解消できていない。
住宅価格の高騰による住宅のアフォーダビリティ(適正費用負担)の低下はアメリカにおいて大きな課題だ。NAHBをはじめとする業者及び業界団体は精力的に問題解決に尽力している。米材木市場、米住宅市場の動向については、NAHBがカナダ産針葉樹材への関税の見直しを求めてホワイトハウスに働きかけたり、米連邦住宅金融庁(Federal Housing Finance Agency, FHFA)が住宅ローン金利の引き上げを発表したりと、事態が刻一刻と変化している。
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