ウッドショック後、国産材の需要は確実に増える。この状況を生かして利用拡大に結び付けるための課題は何か。国産材にまつわる川上側の動向とこれからの方向性について、各所への取材をもとにQ&A方式でまとめた。
〈掲載情報は取材時のものです〉
Q. 製材所の増産に向けたボトルネックは?
A.丸太の入手と設備の効率や容量がボトルネックとなる。前者は直接購入などで対応する。後者は、乾燥設備の導入が肝になる
◉製材所が増産しようとする際のボトルネックは良質な丸太の入手と設備の2つに分かれる
◉丸太の入手は市場頼みだと価格・量とも不安定。一定規模の製材所だと自社伐採や直接購入を組み合わせて調整している
◉設備は製材機については人員増により2~3交代にすれば既存設備でも増産可能。その場合、乾燥機の容量が不足する
➡ウッドショックによる需要増が一時的か恒久的か判断できないため、乾燥機の増設を控えている製材所が多い
◉業界全体で見たときには中小の製材所が多いことも安定供給のネック。まとまった量の材料を確保するには多くの製材所から常に一定量を集める必要がある
➡個々の製材所と顔の見える関係ができていないと難しい
Q.スギやヒノキの平角材はこれから一般化するの?
A.ベイマツやレッドウッド集成材の品薄が続くので確実に増える。ただし現状は国産材の平角材を挽く大規模製材所が少なく、地域や時期によっては品薄になる
➡現状、平角材を中心に挽いている中~大規模な製材所は10社もない。そこに引き合いが殺到している
◉国産のネックの1つが設備。梁せいの大きな平角材を挽くには大径材が必要となるが大径材対応のツインバンドソーを備えた大規模製材所は少ない
➡現状では従来通り送材車付きのシングルバンドソーで挽くため生産量が伸びにくい
◉平角材は長さと幅、高さなどが多様。すべてを組み合わせると数十種類に上る。スギの平角材を増産して普及させる上では整理していくことも必要になる・・・・
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この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン10月号/健康・エコ 国産材が主役のサステナブルな家づくり』(2021年9月30日発行)P.121~123に掲載しています。
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