社会や地域の課題解決に向けて自社の家づくりや経営を重ねることが、社会から求められる工務店になるために有効だが、 そのアプローチは企業規模や地域性、経営者の考え方などにより、さまざまだ。 社会性や社会的使命を強く意識した家づくりや経営を実践する工務店経営者にビジョンと“現在地”、目指すべきゴールについて聞いた。
ecomo/log build(神奈川県藤沢市)社長・中堀 健一さん
コロナ禍により、工務店DXの第一波が襲来したことは記憶に新しい。業界全体がDX化をせざるを得ない状況になり、工務店はデジタルの重要性、そして場所・距離・時間の概念を見つめ直す機会になったのではないか。私自身は、遅かれ早かれ工務店は全ての業務をデジタル化しなくてはならない未来が訪れることを予想していた。それがコロナによって前倒しされたという認識だ。
産業全体で見たときに、住宅業界は明らかにDX化が遅れている。昭和から平成、令和にかけて「三歩進んで、二歩下がる」を繰り返している状態だ。つまり、ほぼ昭和から変わっていなかったと言っても過言ではない。コロナによってやっとスタートラインに立った工務店が多い。
ある地域工務店の経営者は、私に「うちは注文住宅をつくっているから、標準化もDXも無理」と言う。医療や自動車産業、特に製造業全般は、数年前から当たり前のようにAIやデジタル化が進み、現場では間もなく自動化が実現しようとしている。これだけ精密技術を必須とする産業でデジタル化が当たり前のように実現しているのだから、工務店が家づくりで、それをできない理由なんてない。注文住宅をメインにする当社では、当然のようにできている。工務店はDXを当たり前と考える「次のフェーズ」へと移行すべきだ。
「現場」の品質を向上させる
5年前から、当社ではテクノロジーを活用した家づくりに取り組んでいる。私たちこれを「スマートビルダー」と呼ぶ。集客から現場管理、アフターサービスなど、全ての業務に・・・
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