ウッドショック後、国産材の需要は確実に増える。この状況を生かして利用拡大に結び付けるための課題は何か。国産材にまつわる川上側の動向とこれからの方向性について、各所への取材をもとにQ&A方式でまとめた。
〈掲載情報は取材時のものです〉
Q.1 国産材の利用を拡大する上でのボトルネックは?
A. 丸太の生産量が増えないこと。もともと生産性が低い上に、増産して市場の買値が下がることを懸念して伐採量を抑える傾向がある
◉かつての国産材の課題は品質と価格。現在はどちらも解消されて外材にひけをとらない。課題は不安定な供給
◉安定供給と供給拡大のボトルネックは丸太の調達。ウッドショック後に丸太の価格は高騰したが、増産したときに価格が下がると利益は出ない
➡森林組合などの素材生産業者は今の価格がいつまで続くのか模様眺め。この状態で産地に台風などの災害が発生すると丸太の量はむしろ減ってしまう
◉もともと日本は伐採士が少なく、急峻な山が多く、生産性向上の妨げになっている。伐採作業のための路網密度が低く、大型の林業機械を導入できる山も限られている。さらに。働き方改革がそれに追い打ちを掛けた。ウッドショック前年には不況の影響から生産量が落ちていた
◉伐採は補助金への依存が大きい。搬出費用として補助金が付く間伐が選択されやすい。伐採した丸太は販売でき、再造林も求められないため山主には収益になる
➡皆伐すると再造林が求められる。現状の丸太の価格では再造林の費用を捻出するには不十分で数年後から十年後に山に手を入れる費用が出なくなる
Q.2 市場に出る丸太の量が増えないのはなぜか?
A. 大規模製材所が生産の中心となり直接購入が増えた。また、素材生産業者は価格が維持される量しか市場には出さない
◉昨今、高効率の大規模製材所が増えている。彼らは森林組合などの素材生産業者から直接購入する比率が高い
➡直接購入が増えたため原木市場に十分な量が出てこないケースがある・・・・
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この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン10月号/健康・エコ 国産材が主役のサステナブルな家づくり』(2021年9月30日発行)P.119~120に掲載しています。
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