新建ハウジングが運営する工務店向けオンラインスクールサイト「チカラボ」から、工務店の経営者や実務者に役立つ記事をお届けします。
今回は、吉岡孝樹さんの「『小なれど一流』を目指す社長への【選ばれる工務店への道】コラム」ルームからの記事です。
大学卒業後、アパレル企業を経て住まいに関わること30年。自ら住みたい家に暮らし、同じ価値観でお客様にも提供する仕事がしたくて2000年鹿児島に移住し“日本一の工務店”と名高い 株式会社シンケンに入社。その後、2002年自宅を新築、2010年著書『家づくりの玉手箱』発刊。本作は、氏の個人的営業トーク→シンケンHPのブログ→書籍化というプロセスで生まれたもので、全編にわたり新鮮な住まい手目線の写真と文体で表現され読者から絶大な支持を得ている。SNS時代にも通じる住宅コンセプトブックの金字塔とも言える一冊。2019年に株式会社家づくりの玉手箱を設立、『工務店の参謀』としての活動を開始。…
IKEAやニトリがどうして繁盛するのか?(2)
■売れる力とは?
IKEAが繁盛する理由とは
ある方が「IKEAやニトリが繁盛するのは、工務店がダメダメだから」と厳しい一石を投じられました。 また、その方は「大塚家具は残念やった。本物になれたかもしれないのに…」ともおっしゃっていました。 会員制である代わりに、高くてもいいから「本物」の生活提案ができる企業を目指して欲しかったそうです。
これまで耐久消費財の代表格であり続けた『家具』ですが、現代ではどんどん短期消費化しているとも思えます。 ファストファッションならぬファストファニチャーなどと最近では言われている所以です。生産や流通の見直しやグローバルにプレーヤー再編が進んでいるところは、若かりし頃に身を置いていたアパレル業界とも通じるものがあります。ファストファッションなるものは未だ存在しない時代でしたが、当時の強敵レナウンが姿を消すなどとは思ってもみないことでした。
IKEAには繁盛する理由が他にもいろいろあります。個人的にも大変お世話になっているのでそう思うのです。 あの、迷路のような総延長の長いショールーム(生活シーンを提案する展示スペース)の順路は、テーマパークのようで、なんとなくワクワクして楽しいものです。しかも順路が決まっていて一方通行なので、しっかり見ておこうという心理が働き続ける気がします。そして、もう2度と逢えないかもしれないとカートに余計なものまで入れてしまうのです。 誠によく設計されていますよね。
IKEAのショールーム
ショールームのディスプレイは、様々なアイテムを組み合わせて部屋感を演出しています。特に “建築屋さん” が弱い、キッチンやベッドルームの密度の高いディスプレイとその世界観は新鮮です。
会社の業務として完成物件の見学会や写真撮影のためのしつらえや、個人的な買い物として娘の部屋用の買い出しにつきあって福岡や東京周辺の店舗にはかなり通いましたが、出かける度に新しいアイテムがあっていつも脱線し長居してしまうのでした。
毎回余計なものを相当量カートに入れてしまうのですが「え、そんなもん?」というぐらい合計プライスが安いのです。
北欧っぽい綺麗な合板の製品などは、合板そのものの材料費より製品価格の方が安いのでは?というぐらいのものもあったりします。ちょっとしたものはDIYで作ってしまう私ですが、とても作る気にならないぐらいコスパがいいのです。おそらく大量生産や計画生産はもちろんのこと、端材は小物にしたりして無駄のないオペレーションのもとで流通しているのだと思います。この値段でも儲かるのですから「いったいいくらで作ってるのだろう?」と考えてしまいます…
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