日本政策金融公庫(東京都千代田区)は昨年12月28日、「信用保証に関する金融機関アンケート調査(2021年度下期調査)」の結果を公表した。中小企業向け貸出D.I.や信用保証付貸出D.I.は2期連続マイナスとなったものの、マイナス幅は縮小している。また、特別調査として、金融機関にコロナ禍での信用保証協会と連携した経営支援に関して、信用保証協会との連携について尋ねたところ、9割以上が「連携を強化」と回答。コロナ禍で業績が悪化している企業に信用保証協会と連携して支援している様子が伺えた。
※D.I.=(「増加」と回答した金融機関の割合+0.5×「やや増加」と回答した金融機関の割合)-(「減少」と回答した金融機関の割合+0.5×「やや減少」と回答した金融機関の割合)。
調査は昨年10月、全国251の金融機関(都市銀行5、地方銀行62、第二地方銀行37、信用金庫120、信用組合27)を対象に実施した。回答率は95.2%。
2021年度下半期調査のうち、中小企業向け貸出D.I.は、-24.9と2期連続でマイナスとなったものの、上半期(-28.5)よりマイナス幅はやや縮小。次期は-5.3と大幅にマイナス幅が縮小すると見込んでいる。
信用保証付貸出D.I.も、-43.0と2期連続でマイナスとなったものの、マイナス幅は上半期(-47.7)よりやや縮小。こちらも次期見込みは-18.8とマイナス幅が大幅に縮小するとしている。信用保証付貸出における条件変更D.I.は、18.9(上半期17.7)とやや上昇し、4期連続でプラス。次期は19.7と横ばい傾向が続くと見込む。
金融機関から信用保証協会への代位弁済請求に関しては、D.I.は上半期6.4から12.8と上昇し5期連続でプラス。次期見込みは17.3に上昇するとしている。
■コロナで業績不芳の業種を支援
「コロナ禍における信用保証協会と連携した経営支援に関する取り組み」に関する特別調査では、コロナ禍において保証利用企業が大幅に増加した中、「経営支援において、信用保証協会と連携を強化している(予定を含む)」と回答した金融機関は97.9%を占めた。
融資先に対する経営支援サービスのうち、金融機関主導の取り組みとしては、「諸制度(制度融資、政府系機関融資、補助金、給付金等)等の情報提供」が56.7%で最も多い。一方、信用保証協会との連携による経営支援サービスでは、「再生支援(経営改善計画の策定支援を含む)」が58.5%で最多となっている。
取り組みの中で「外部専門家の派遣・紹介」は、金融機関主導の取り組みとして挙げた金融機関は19.7%に止まるが、信用保証協会と連携した取り組みとして挙げた金融機関は53.4%と高く、「信用保証協会との連携に対する期待が大きい」としている。
金融機関主導で取り組む支援先としては、「メインバンクとなっている企業」が82.0%で最多。次いで「コロナ禍で業況不芳となっている業種の企業」が50.6%で、信用保証協会と連携して取り組む支援先としてもこの項目が52.5%で最も多い。
支援先のうち、金融機関主導で取り組む支援先として「融資額の半分以上を信用保証付融資で支援している企業」(0%)、「条件変更中の企業」(16.3%)の割合は低いが、信用保証協会と連携して取り組む支援先としては、それぞれ30.1%、40.7%と高く、信用保証協会との連携に対する期待が大きいことが浮き彫りになった。
そのほか、金融機関自らが経営支援サービスを推進する上での課題について聞いたところ、「企業や業界に対する知識が不足している」が50.0%で最多。次いで、「人事異動(担当者の交代)や人手不足」40.3%、「企業とのコミュニケーション不足」34.0%などとなっている。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。