山長商店は国産材のサプライチェーンの先駆けだ。紀州材を工務店に直接届ける取り組みを進化させ、2022年には大型パネルの工場を開設する。大型パネルはサプライチェーンのあり方を変えるか。ウッドステーション社長の塩地博文氏とモック社長の榎本哲也氏に取材し、Q&A方式でまとめた。
〈掲載情報は取材時のものです〉
Q.1 山長商店のサプライチェーンの特徴は?
A. 植林から製材、プレカットまで一気通貫で工務店などに提供。首都圏に販売の窓口として材木店を構えて山と大消費地をつないでいる
◉山長商店のグループでは山を循環させる持続可能な林業を実践するために、紀州の山から丸太を伐り出し、製材からプレカットまで一気通貫のサプライチェーンを展開している
◉その最前線に位置するのが埼玉県八潮市に本社を構える材木店のモック。国産材プレカットや建材・設備販売のほか各種の工務店サポートも行っている
◉紀州材は目が詰まり、強度も高い。その特性を生かすために山長商店ではJAS工場の認証を取得。人工乾燥を徹底するとともに機械等級区分に基づきヤング係数を印字している
◉ウッドショック以前より、大径材への対応としてスギの平角材を生産。一般的な高温乾燥より温度を抑えた高温蒸気式減圧乾燥機により内部割れを抑制。含水率20%以下に仕上げている
➡ 同社では高温乾燥機13台、中温乾燥機3台を設置。高温乾燥機のうち高温蒸気式減圧乾燥機が6台を占める
Q.2 山長商店の丸太と製材品の生産能力は?
A. 丸太使用量は年間3万m3、製材品生産量は年間1.2万m3。プレカット能力は年間3万坪で柱・土台はほぼ100%、横架材は半数以上が紀州材
◉山長商店の丸太使用量は年間約3万m3。自社伐採が35%、原木市場や森林組合、素材生産業者からの仕入れが65%となる
◉製材品の生産量は年間1万2000m3、そのうち構造材が8000m3、造作材・羽柄材が4000m3。このほかチップを4600t生産している
◉プレカット工場の生産能力は年間3万5000坪。昨年度実績は3万坪だ。プレカット棟数はひと月あたり平均75棟。材積は1棟あたり平均18m3なので、輸入材を含めて年間1万6000m3の加工を行っている計算になる
➡柱や土台はほぼ自社の材。横架材は半数以上が同社の材となる。材積でいうと約8500m3程度が紀州材となる
Q.3 ウッドショックで国産材の需要はどうなったのか?
A.これまで一定の在庫を抱えてきたが、2021年8月には在庫が逼迫。製材品の製造コストと利益を見直し・・・
この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン2021年11月号 工務店らしいリノベーション戦略』(2021年10月30日発行)P.52~55に掲載しています。
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