東京建物(東京都中央区)が進める、主要構造部にCLTパネル工法を採用した賃貸マンションプロジェクト「(仮称)洗足池プロジェクト」(東京都大田区)が、国土交通省の「令和3年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択された。同プロジェクトでは、CLT耐力壁の配置によってフロア接合に使用する鉄骨量を削減し、建築手法を省力化するとともに、上下のCLT壁パネル間に鉄骨梁を組み込むことで曲げ戻し効果やめり込み解消などを実現。コンクリートと同等の建物強度を確保した。CLT耐力壁には、引張りとせん断に対応するため開発されたグラウトジョイント接合を採用する。
また、木材を石膏ボードで覆った耐火構造と、一部に耐火性能基準適合の難燃処理木質パネルを組み込むことで、2時間の耐火性能を発揮する試みを予定している。施工記録とエンジニアリングレポート(物件状況の調査報告書)等で建物耐用年数の検証を実施し、不動産としての付加価値向上と木造建築物の普及促進を図る。耐火性能や耐久性の向上など、構造における工夫が評価され、今回の採択に至ったという。着工は2022年、竣工は2024年の予定。
同社グループは、中長期目標である「CO2排出削減量を2050年までにネットゼロ」に向け、脱炭素の取り組みを強化。木材の利用促進については、分譲・賃貸マンションにおいて、「2023年までに主要構造部にCLTを採用したマンション開発の実現」を目標としている。今回のプロジェクトでは、6階建ての主要構造部に木材を約830m3使用予定で、CO2換算の炭素貯蔵量は約550tとなる。同社は、同プロジェクトを通じてCO2削減に寄与するとともに、同プロジェクト以降もマンション等での積極的な木材利活用を推進し、持続可能な社会の実現に貢献するとしている。
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