富士経済(東京都中央区)はこのほど、EV・PHV家庭用充電器の日本・中国・米国など主要10カ国の普及実態を調査した結果を「EV/PHV 家庭充電の国別実態と普及方向性 2021」にまとめ発表した。
日本の家庭用充電器はストック数ベースで、2021年が4.9%増の6万1400台の見込み。国内ではEV(電気自動車)・PHV(プラグインハイブリッド自動車)は戸建て住宅居住者が購入するケースが多く、米国や中国、欧州と比較して保有台数が少ない。前年に引き続き新車販売が低迷していることもあり、家庭用充電器の普及も低水準にとどまっている。市場の9割を普通充電器のType1出力3kWが占めるが、今後Type1出力6kW~7kWを中心に伸びるとみられ、2035年には2020年比10.2倍の59万4800台になると予測。急速充電器は、V2X対応機能を標準実装しているCHAdeMO出力22kW以上の製品の需要が増加し、2030年頃から市場を形成すると予測。2035年は1300台を見込む。
中国では、2021年の普通充電器が2020年比40.2%増の103万5000台となる見込み。各国と比較してEV・PHVの所有者数が多く、EVメーカーが新車購入者へ家庭用充電器を無償提供するのが一般的なため、ストック数も世界最多となっている。今後、普通充電器は大容量バッテリー搭載車が増えることで大出力化が進むほか、家庭用の急速充電器設置も本格的に市場が立ち上がるとみられる。2035年の普通充電器は2020年比17.9倍の1322万台、急速充電器は60万台と予測する。
米国の家庭用充電器は、2021年が2020年比28.3%増の64万7900台の見込み。戸建て住宅向けがメインで、EVの販売台数増加によって普通充電器の普及が拡大。EVメーカーは自社ブランドの家庭用充電器を展開しており、特にTesla「Wall Connector」の設置が増加している。今後も、太陽光発電事業者と家庭用充電器メーカーが共同で家庭・職場用普通充電器の設置サポートを始めることなどから普及が進むとみられる。2035年は普通充電器が2020年比14.1倍の709万9000台、急速充電器が50万2000台と予測。
ドイツは、2020年に連邦政府がEV・PHV購入時の助成金を大幅に増加したことによる新車販売台数の増加や、自動車メーカーが自社ブランドの家庭用充電器と車両の同時販売を進めていることなどから、普通充電器のストックが増加。2021年は2020年比60.2%増の25万6300台を見込む。今後は、大容量バッテリー搭載車が増え、普通充電器のType2と急速充電器のCCS(Combo2)を中心に大出力化が進むとみられる。2035年は普通充電器が2020年比18倍の288万4000台、急速充電器が11万200台と予測している。
同調査は、EV/PHEV普及が加速している先行国および今後の普及拡大が期待される新興国の計10カ国(ドイツ、英国、フランス、ノルウェー、米国、中国、日本、インド、タイ、オーストラリア)を対象に実施。国別家庭充電インフラのストック市場をまとめ将来展望を検証した。
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