近畿大学の研究グループは水に溶けたセシウムをろ過して99%以上取り除くことができ、かつ、強度の高い漆喰「ゼオCa(カルシウム)漆喰」を開発したとして、5月23日発表した。原発事故で放出されたセシウムの除去や封じ込めに使える可能性があるという。
多孔質で吸着性能の高い鉱物・ゼオライトを、石灰重量の3~4倍の高濃度で配合。そこへカルシウムイオン水を添加し、従来の漆喰の2倍以上に強度を高めた。
研究グループによると、ゼオライトの吸着性の着目した漆喰は従来から利用されている。が、強度が低く崩れやすいのが欠点。今回の開発では、同大学の森村毅非常勤講師と広島県の建築舎ゆわんと村が共同開発したカルシウムイオン水による漆喰の高強度化技術を用い、ゼオライトの脆弱(ぜいじゃく)性を克服した。
「ゼオCa漆喰」はゆっくりした透水能力を持つことが特色で、研究グループはセシウム汚染物質をろ過するフィルターの機能を期待。セシウム水溶液による透水実験を行ったところ、99%以上のセシウム吸着性能を確認した。30mg/gの吸着容量(飽和量)があることも検証している。
研究グループは「ゼオCa漆喰」をセシウム汚染物質の保管施設・保管容器に用いることで、セシウムを除去・封じ込めできる可能性があると指摘。今後、福島県内で企業や生活者のニーズを探りながら、具体的な使い方を検討していく。
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