YKK AP(東京都千代田区)が12月22日発表した2021年度の事業概況によると、今期は「樹脂窓を中心に売り上げが非常に好調だった」とした一方で、収益面では原材料価格の高騰により利益は前年比と計画比の両方で下回った。2021年度の売上高は前年比111%、計画比106%の4475億円、営業利益は、前年から8億円マイナス、計画からは13億円マイナスとなる200億円と推定した。
堀秀充社長は「非常に好調だった売上高に対して、利益は前年、計画ともに下回った。資材高、原材料高が収益に与えたインパクトが非常に大きかった」とした。もちろん合理化を進めてきたからこそこの利益が確保できたとしたが、「メーカーにとっては非常に厳しい1年だった」と振り返った。
国内事業では、樹脂窓が推定売上高で前年比120%と大きく伸びた。その一方で納期遅延を起こした。11月は39日の遅延、12月も23日の遅延となった。しかしこれも徐々に収まりつつあり、来年1月は1ケタに、2月にはほぼ解消するとしている。原因は、「コロナのせいではない」と同社。樹脂窓の予想を超える受注によるもので「見込み違いの好調さ」が要因とした。
2050年カーボンニュートラルに向け、ビルダーの高断熱化への意識が高くなった。消費者の関心も高くなっている。さらに住宅ローン減税の駆け込み需要もあり、それらを背景に、「業界は確かに原材料不足だが、納期遅れは受注が伸びたため」(同社)とした。住宅事業全体での推定売上高は前年比109%。今年は「顔認証玄関ドア」を発売。ハンズフリー、キーレスで顔認証で解錠するという戸建ての玄関では業界初となる製品を投入し話題となった。
リフォーム分野も推定売上高前年比114%と好調に推移。マドリモは前年比160%、ドアリモも同129%とリフォーム商材の強化により需要創造ができたとした。今年はマンション用のマドリモ断熱窓を発売。カバー工法による簡単施工で足場が不要で半日で施工ができ、一戸単位で窓リフォームができるとあり、これも好調だった。
エクステリア分野も、建築と外構の一体設計提案が奏功し、推定売上高は前年比115%に。カーポートは同118%、門扉・フェンスは同119%となった。コロナ禍での暮らし方の変化をいち早くとらえた暮らし提案として、持ち出し式奥行き4尺の「ルシアスバルコニー」を発売し、新しい屋外生活を提案した。
供給体制については、埼玉窓工場に新ラインを増設した。これで全国11ラインでの稼働となり、樹脂窓の生産能力は2011年度比で9.6倍に。また、ビル商材をメインとした埼玉工場は、2023年9月稼働予定の新工場の増設を計画。製造コストを25%削減、リードタイムも約6日短縮できるとしている。製造、供給体制を再編し、一層の「モノづくり改革」を進める。
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