国土交通省が毎月公表する「建設工事受注動態統計」でデータを無断に書き換えるなどし、二重に計上していた問題で、岸田文雄首相は12月16日の参議院予算委員会で、斉藤鉄夫国交相に対し真相解明のため第三者委員会の設置を指示したことを明らかにした。
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立憲民主党・白真勲参議院議員の質問に対する答弁で岸田首相は「まずこういった事態が起こったことは大変遺憾であり、経緯や原因の検証を行い、再発防止を行い、信頼回復につなげなければいけない。内部の人間だけではなく、検事OBや弁護士をはじめとする第三者委員会で検証し、1ヶ月以内にまとめるように私の方から指示を出した」と検証結果を1ヵ月以内に総務省統計委員会に提出する意向を示した。
この統計は建設業者が公的機関や民間から受注した工事実績を集計したもので回収を担う都道府県に書き換えさせるなどし、公表した統計には同じ業者の受注実績を「二重計上」したものが含まれていた。書き換えは年間1万件ほど行われ、2013年から今年3月まで続いていたという。
斉藤国交相は会計検査委から指摘された2020年1月以降は国交省職員が書き換えていたという報道を問われると、「会計検査委から指摘を受け令和2(2020)年1月分から『改善された方法』で行っております。ただし令和2年1月分から令和3年3月分までは同じ基準で対前年の比較ができるよう新たに改善した方法による集計と従前の方法による集計の両方を行うこととし、双方のデータをホームページで公開しています」と説明。
続けて「令和2年1月から改善された方法はスタートしていますが、前年度の比較のためにあえて、従来の方法でも調査を行ったということです。この従前の方法で集計を行うに際し、令和2年1月の時点で都道府県に対し、書き換えなどの作業の依頼は撤回していたため、一時的に必要な作業は国交省でせざるを得ませんでした。本年4月からは新たに改善された集計方法のみのためそのような作業は不要となり、現在は行っておりません」と国交省職員が書き換えに至った経緯を明かした。
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