米労働省労働統計局が12月8日に公表した「求人労働異動調査(Job Openings and Labor Turnover Survey, JOLTS)」で、アメリカ建設業界における求人数が過去最高を記録したことが明らかになった。
コロナ禍の影響を受けて高まった住宅需要が米建設業界の労働市場を逼迫させており、回復の見込みはいまだ立っていない。10月の米建設業界における求人数は41万件で、「求人労働異動調査」が始まって以来、過去最高を記録。昨年10月の求人数(25.3万件)からは62%、前月の求人数(35.4万件)からは16%、大幅に増加している。
雇用数の伸び悩みにも、米建設業界の労働市場の逼迫ぶりが表れている。10月の米建設業界における雇用数は37.8万件で、前月の雇用数(36.1万件)から4.7%しか増えていない。また、昨年10月の雇用数の40.1万件と比較すると、5.7%減少している。
アメリカ全体の10月の求人数は1103.3万件で、昨年10月の求人数(687.3万件)からは61%、前月の求人数(1060.2万件)からは4.1%増加した。新型コロナワクチンの接種者が増え世界的に経済活動が再開され始めたことで、他業種の求人数も増加していることが、建設業界の人手不足問題に拍車をかけている。
米建設業界における求人数は、住宅部門・非住宅部門を問わず増加傾向にあるため、建設業界全体の求人数は今後さらなる上昇圧力にさらされることが予想される。また、コロナ禍から経済が立ち直り、労働市場が強化され、失業率が低下すると、ますます新規労働者の獲得は難しくなる。
一時期の熱が失われたとはいえ、アメリカにおける住宅需要は依然として高く、住宅供給の逼迫は続いている。しかし、住宅供給を増やすために必要な木材、建設資材、労働力のいずれも大幅に不足しており、問題改善の目処も立っていないのが現状だ。
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