全米有数の住宅会社Lennar(アメリカ・フロリダ州フォンテインブルー)と3Dプリントを手掛ける新興企業ICON(アメリカ・テキサス州オースティン)は、100戸の3Dプリント住宅からなる住宅街をアメリカのテキサス州オースティンに建設する。建築設計事務所のBjarke Ingels Group(デンマーク・コペンハーゲン及びアメリカ・ニューヨーク)が設計に協力し、2022年度中に着工する。
今回のプロジェクトで使用されるのは、住宅の3Dプリントを大量かつ迅速に行えるよう一から設計・開発された、ICONの建設システム「バルカン(vulcan)」だ。バルカンによってプリントされる最大約279m2の住宅・建築物は、国際建築基準(the International Building Code, IBC)を満たし、コンクリートブロックで建設された標準的な住宅と同等以上の耐久性を持つ。従来の建設方法と比較して、設計の自由度が高い住宅・建築物を、より早く、資材の無駄なく建設することが可能だという。
ICONの共同設立者兼CEOであるジェイソン・バラード氏は「建設規模の3Dプリントは、高品質な住宅を早く手頃な価格で提供するだけでなく、コミュニティ全体の建設方法をより良いものに変えることができる。アメリカでは約500万戸もの新築住宅が不足しているため、迅速に供給を増やすことが強く求められており、それこそが当社の技術の得意とするところだ」と、自社技術への自信を滲ませた。
Lennarが所有するLENXの社長であるエリック・フェダー氏は「労働力と資材の不足という大きな二つの要因が、アメリカの多くの家族にとって、住宅の所有という夢を手の届かないものにしている」と述べた。
コロナ禍の影響を受け過熱した需要に対し、供給の逼迫が続いている住宅市場。住宅の3Dプリントは、課題を解決するための新たなアプローチとして期待される。
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