国土交通省の社会資本整備審議会建築分科会は、12月7日の建築環境部会・建築基準制度部会の合同会議で、今後の住宅・建築物の省エネ対策、および建築基準制度の方向性を記した報告案を示した。省エネ基準は2025年、全ての新築で適合を義務化。また、小規模木造建築物の壁量などに関する基準を見直し、その上で4号特例を縮小する方向性を明記した。
報告案は、国の温室効果ガス排出量削減目標達成に向け、講じるべき住宅・建築物関連の施策をまとめたもの。CO2を固定する木材の利用促進も脱炭素施策に位置付けられ、木造関連基準が省エネ対策と同時に議論された。
省エネ基準の適合義務化にあたっては、建築確認・検査で適合を審査。ただし、仕様基準で、適合が容易に確認できる場合は省エネ適判を不要とする。改修時は、増改築部分のみ省エネ基準適合を求めるなど「合理的な規制」を施す。また、高さや建蔽率、容積率の限度を、省エネ改修でやむを得ず超えてしまう建築物は、個別に緩和する制度も導入する。
再生可能エネルギーは、義務化などは盛り込まれなかったが、地方自治体が建築士への説明義務を課すことを可能にする制度を導入すると記した。
木造関連の建築基準では、以前から問題が指摘されていた小規模建築物の構造安全性に焦点を当てる。省エネ化による重量化などの影響を踏まえ、必要な壁量などを見直す。その上で4号特例を縮小し、2階建て以上または200m2超の全ての建築物で、構造の審査を行う方向性を固めた。
省エネ性との関連では、高さが高くなっている状況に対して、3階建てで許容応力度計算が可能な範囲を、高さ13m以下・軒9m以下から、高さ16m以下に見直す。二級建築士の業務範囲も、見直しに合わせ整合を図る。
その他、中大規模木造や混構造の防火規定、既存ストックへの現行基準の遡及適用などの合理化を明記した。
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