戸建てリノベの市場は地域性が強い。都市部は地価が高く法規制が厳しい上に営業的には大手不動産系のリフォーム会社が強い。制約の大きい都市部において少人数の体制で戸建てリノベを安定的に受注するための営業手法について、工事費2000万円超の戸建てリノベを年間24棟コンスタントに手掛けるハイウィル(東京都練馬区)代表の稲葉高志氏に取材した。
都市型のリノベ市場とは?
地価が高いために容積率を最大化したいというニーズが強い
リノベ向きのエリアや用途
◉首都圏の場合、東京23区などの利便性が高く地価が高いエリアでは新築との競合はなくリノベになる
◉建て替え時にセットバックが求められて既存の建物より延床面積が減るため
◉ただし武蔵野市から西の郊外では新築とぶつかる
二世帯住宅の事例が増加
◉都市部における最近の傾向の1つが二世帯住宅の増加。相続税の優遇措置の話が出ることが増えた
◉延床面積で35~40坪、敷地30坪程度の場合は完全分離の二世帯住宅になりやすい
事前にハウスメーカーで新築を検討
◉見込み客はリフォーム相談の前にハウスメーカーに新築前提で当たっていることが多い
◉ハウスメーカーとのやり取りで容積率などを学んで新築では既存のボリュームが保てないことを知っている
年収1千万円超の一次取得層が賃貸併用に
◉予算のある一時取得層が山手線内の物件を買って賃貸併用住宅にリノベする傾向もある
◉建て主は単身者やDINKS、夫婦と子供1人など。延床面積35~40坪、敷地は30坪程度
◉住宅ローン対象になるため予算3千万〜 4千万円と高額。返済の半分を家賃で補う計画
大手が強いので彼らが手掛けない本格的な性能向上リフォームで勝負す
最近は大手も性能を謳うが中途半端
◉最近は大手も耐震や断熱性能の強化を謳うがスペックは中途半端
◉耐震改修の場合、上部構造の補強のみで基礎補強はしないので評点1.2が限度
◉大手が評点1.5の耐震改修をやらないのは、・・・・
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この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン2021年12月号工務店の経営を支える設計力/戸建てリノベを究める① 性能向上リノベ事業化セオリー』(2021年11月30日発行)P.78~89に掲載しています。
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