日本不動産研究所(東京都港区)は11月29日、第17回「国際不動産価格賃料指数」(2021年10月現在)の調査結果を公表した。国内外14都市(東京、大阪、ソウル、北京、上海、香港、台北、シンガポール、クアラルンプール、バンコク、ジャカルタ、ホーチミン、ニューヨーク、ロンドン)のオフィス、マンション(1都市当たりオフィス3物件、マンション3物件)について、対象物件の新築・新規契約を前提とした1m2あたりの価格・賃料を評価し、指数化した。
このうちマンション市場に関しては、価格上昇が続いているソウルでは、実需に加えて投資需要も強く、潤沢な資金がマンション市場に流入していることから今期は一層の価格上昇が見られた。ニューヨークはオフィス出勤の再開等で、都心部に居住環境を求める実需層が回帰しており、価格・賃料は前期までのマイナスから一転、今期は大幅なプラスとなった。
北京は住宅市場引き締め策が奏功し、市況は改善しつつも価格の動きは穏当。一方、上海は販売在庫の逼迫から、価格は前期よりも上昇幅を拡大している。
マンション価格指数の対前回変動率(2021年4月から10月まで)が最も高かったのはソウル(+9.4%)。次いで台北(+4.2%)だった。台北は価格の先高感が強まっていることに加え、建築コストの高騰も影響している。
香港では政府の規制緩和を背景に住宅の需要が喚起されており、価格の上昇幅が拡大した。ロンドンは5年以上に亘って価格下落が続いているものの、取引件数の増加が認められるなど、「先行きの市況の改善に対する期待が高まっている」としている。
マンション賃料指数の対前回変動率はニューヨーク(+5.0%)、上海(+2.9%)の順に高い。上海は賃貸物件の供給減とともに、一部の購入需要が賃貸市場に流入していることから賃料の上昇が認められる。クアラルンプールとジャカルタでは外国人駐在員層の需要が減少していることが賃料の下落に寄与している。
東京(港区元麻布所在)のハイエンドクラスのマンション(1戸の専有面積あたりの分譲単価・賃料)を100.0とした場合、高級住宅(ハイエンドクラス)の価格水準を見ると、香港が211.6、ロンドンが181.4、台北が138.4、上海が133.7などとなっている。
ハイエンドクラスの賃料水準比較では、東京を上回ったのは、ロンドン(222.2)、ニューヨーク(191.5)、香港(156.6)、シンガポール(113.2)の4都市。
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