木材は比較的安価で応用範囲が広い材料だ。素材のもつ特性を生かすことで、さらに活用範囲が広がる。 多くの建材開発に関わっている和建築設計事務所の青木和壽さんに、外壁板張りの防火性能と木製サッシの高性能化のポイントを聞いた。
無処理の外壁板張りで防火・準耐火の認定取得
外壁板張りの障壁となるのが防火の規制だ。22条地域など外壁に防火構造が求められる場合、外壁板張りにするには次の3つの方法がある。①告示仕様の外壁板張り、②防火構造の外壁に木板を付加、③個別の認定の利用。
③の代表例がダイライトやモイスなどの不燃材料の耐力壁。汎用性が高いが、多くはグラスウールやロックウール、石膏ボードが必須となるため、付加断熱など多様化する断熱工法に対応できない場合がある。また外壁板張りで準耐火構造の認定は取得していない。
個別の認定で仕様の自由度が高いのが、薬剤注入した不燃木材を用いたもの。この分野は少し前に国土交通省の抜き打ち検査で認定取り消しになった製品が続出して、信頼を失った。技術的にも経年変化による液垂れや白華の問題が完全には解決されていない。
そうしたなか注目されるのが、無処理の外壁板張りで防火構造(30分)や準耐火構造(45分)の認定を取得している工法だ。青木さんはウェスタンレッドシダーやカラマツの認定に深く関わってきた。前者は高広木材、後者は小林木材・第三木材と取り組み、実現させた。
木材で防火性能を担保する
防耐火の認定で要求しているのは「燃えない」ことではなく、「一定時間燃え広がらない」ことなので、無処理の木材でも厚みを増せば要求性能をクリアできる。まずは木材が燃える原理をおさらいする。
木材は外部から高温で熱せられると可燃性ガスを放出し、それが空気中の酸素と反応して燃える。この反応が繰り返されることで木材は燃え広がる。木材は燃えると炭になる。炭化の速さは木材が重くなるほど遅くなる。つまり広葉樹など比重が高い樹種ほど燃えにくい。カラマツは針葉樹のなかでは比較的高比重で防耐火性能を付与するのに向いている。
一部にこの傾向に当てはまらない樹種もある。たとえば乾燥による収縮・変形が小さい材だ。燃焼による割れや隙間ができにくく、低比重でも燃えにくい。その一つがウェスタンレッドシダー。比重はカラマツよりも低いが表面の炭化層が形成された後は燃え進みにくい。
青木さんが関わったカラマツとウェスタンレッドシダーは30mm前後の厚みをもたせることで、防火構造(30分)と準耐火構造(45分)をクリアしている。しかも断熱材の仕様は自由だ。
防耐火の試験の考え方は・・・・
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この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン10月号/健康・エコな家づくり 木のチカラを再考する』(2020年9月30日発行)P.46~に掲載しています。
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