旭・デュポン フラッシュスパン プロダクツ(東京都千代田区、深須憲哉社長)が展開する透湿防水シート「デュポン タイベック ハウスラップ」が、来月出荷分をもって廃盤することを受け、同製品OEM供給品について、一部で製造中止になるとの憶測が流れていることに関して、同社・営業本部本部長の藤﨑幸夫さんは否定し、「今後も製造を続ける」と明言した。
今後ハウスラップは、既存顧客のみOEM生産を継続し、新規は受け付けない。同社は販売代理店を通じて「市場シェア6割を占める」(同社広報担当)ハウスラップから、全国の工務店にシルバーへの切り替えを案内する準備を進めている。
藤﨑さんは「性能値を比較してもハウスラップよりシルバーが優れているのは明らかで、これが工務店に届けられるベストな商品だと判断したため、1本化を決めた」と話す。
ハウスラップの廃盤に関する通知と、シルバーへの切り替え期間が実質1ヶ月だったことに関して、業界内で賛否が分かれている。同社は、現在の在庫と生産状況を加味した上で、「廃盤前の駆け込み需要とその反動減を考慮し、公平性を担保するため」と説明する。
シルバーは、高密度ポリエチレン不織布タイベックにアルミニウムを蒸着させ、繊維の一本ずつにアルミニウムの劣化を防ぐ「抗酸化樹脂コーティング」を施した遮熱シート。ハウスラップと比較してシルバーは、遮熱性に優れているのが特徴。同社内に設置している研究所の測定結果によると、赤外線反射率約85%と高い遮熱性がある。
2017年には、50年後相当の耐久性試験を行い、JIS A6111:2016で新設された耐久性区分「クラスIII(50年後相当)」の適合を確認した。同試験では、外装材が施工されるまでの2ヶ月間に相当する紫外線照射に加え、50年相当の熱負荷を与えた後、耐水圧を測定。その結果、防水性は19kPa以上(基準値=8kPa以上)、引っ張り強さ残存率は初期値に対して縦横共に90%以上(基準値=50%以上)の性能を確認している。
初期性能は、シルバーは19.6kPaと30年相当でも数値変化が変わらず、一方、ハウスラップは15.2kPaから、同30年相当で13.7kPaと若干の劣化が進むこともわかっている。
また、一部SNSの書き込みや業界関係者の間で、シルバーを使うと電波が遮断されて、スマートフォンなどの通信機器に影響が出るとの憶測について、藤﨑さんは「仮に建物に開口部が一切ない状態で、シルバーで密閉された空間であれば可能性は考えられるが、現実的にそれはあり得ない。通信キャリアにも問い合わせたが、透湿防水シートだけが原因と特定するのは難しいとの回答を受けた。仮に問題が発生した場合でも対応策はある」と述べる。
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