旭化成ホームズ(東京都千代田区)はこのほど、AI活用を含むデータサイエンス技術を用いてくらしに関する多角的なサービスを創出するデジタルサービスプラットフォームの構築を目指し、取り組みを開始した。建物内に設置されたIoT機器などで、住まい手の建物内部での生活記録を収集し、データの通り道であるゲートウェイを通じて、クラウド上のデジタルサービスプラットフォームに集約。AIを活用した情報解析によって、生活の利便性や健康、災害に対する安全性向上、持続可能な社会に向けた多様なサービスを創出する。
第1弾として、同社が昨年発売した戸建て住宅商品「onefitto(ワンフィット)」の置き配対応のスマートロック付き大型ストックスペース「スマートクローク」に、独自開発した自動解析機能を組み込んだWEBアプリケーションを採用。利便性と安心感を向上した「スマートクローク・ゲートウェイ」として、11月から運用を開始した。宅配を伴う外部サービスを利用する際の、受け取りやスペースに関する不安や困りごとの解決を目指した。
「スマートクローク・ゲートウェイ」は、顧客がネットショップで注文後、ショップからの配送予定メールを独自開発した専用WEBアプリに転送・本登録することで、メール内容を自動解析し、時限付き解錠パスワードを設定する。配達員は、スマートクロークの外部ドアに設置された「スマートロック付きドア」に、ルールに基づいて時限付き解錠キーを入力することで、入室可能となる。スマートクローク内部には防犯カメラを設置したほか、同社独自の盗難補償制度を設けることで安心を担保。スマートクロークと室内をつなぐ扉には内鍵を設置し、生活スペースの安全を確保している。
これにより、顧客は不在時でも留守であることが外部に漏れることなく、安全に荷物の受け取りができる。また、建物内に届けてもらうことで、荷物が重くても移動の負担がなく、玄関まわりもすっきりする。在宅中でも非対面で受け取れるため、感染リスクを抑えられるほか、衛生面での不安もないという。
なお、WEB専用アプリでは、スマートクローク・ゲートウェイを介して受け入れた食品の栄養価から、家族の栄養管理を行うアプリも同時公開しており、今後も順次サービスを拡大予定。
政府は骨太方針2021のなかで、コロナ禍での社会変化を、国内経済の回復にとどまらず、これまで進められなかった様々な課題を一気に解決する重要な機会ととらえており、その原動力の一つとして、民間部門におけるデジタル化の加速をグリーン社会の実現などとともに掲げている。同社が開発を進めるデジタルサービスプラットフォーム構築は、2030年の新しいくらし・社会に向けて、同社のリソースや進化するDXの活用、パートナーとの協業も併せて、心と体の健やかさ(ウェルネス)を中心に、災害に負けず(レジリエンス)、環境と調和し(サステナビリティ)、家族と自分の豊かな時間を享受するためのサービスを提供する取り組みとなっている。
今後は、エネルギーの最適な活用・分配の促進やヘルスケアの向上、より迅速な災害対応実現など、さまざまなテーマについて、有機的な連携を備えたデジタルプラットフォームの構築に向けたチャレンジを続けていくとしている。
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