全米住宅建設業者協会がこのほど発表した2021年第3四半期の「住宅動向レポート(Housing Trends Report)」で、アメリカにおける「新築住宅への関心」と「住宅のアフォーダビリティ(住宅の適正費用負担)への認識」が、3四半期連続で悪化し続けているとのデータが示された。「ウッドショック」の影響で上昇している住宅価格の影響が、購入者意識に如実に表れた。
「住宅動向レポート」は、住宅購入予定者の認識変化を追跡するために、全米住宅建設業者協会のエコノミクス・チームが四半期ごとに作成している調査レポート。1年以内に住宅購入を計画している人の割合や、住まい探しを継続するつもりである人の割合、住宅のアフォーダビリティなど、住宅購入予定者に焦点を当てた市場分析を行っている。
この度発表された住宅動向レポートでは、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに過熱していた新築住宅需要が「冷え込みつつある」と示した。
2018年の第1四半期、新築住宅の購入を考えている人は住宅購入予定者の15%ほどだったが、コロナ禍の影響を受け、2020年の第4四半期には42%まで増加。しかし、「ウッドショック」により住宅価格が高騰すると、新築住宅への関心は3四半期連続で低下し、2021年第3四半期には32%まで減少した。代わりに、新築住宅・既存住宅を問わない住宅購入予定者の割合が、27%(2020年第4四半期)から34%(2021年第3四半期)まで上昇した。
住宅のアフォーダビリティに関しても、住宅購入予定者の認識は良くない。「市場で販売されている住宅の半分以上がアフォーダブル(手頃な価格)ではない」とした住宅購入予定者の割合は、2020年の第4四半期には63%だったが、65%(2021年第1四半期)、71%(2021年第2四半期)、73%(2021年第3四半期)と、3四半期連続で着実に増加している。
低金利の住宅ローンが与える住宅のアフォーダビリティへのポジティブな影響が、10%以上に及ぶ住宅価格の上昇によって、限定的になっていることが示唆された。
コロナ禍を受け過熱していた住宅需要は、住宅価格が上昇したことで減少に転じている。しかし、住宅市場に対する認識が悪化傾向にあるとはいえ、コロナ禍前と比較すると、住宅購入予定者の数は依然として高水準であるといえる。
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