新建ハウジングが運営する工務店向けオンライスクールサイト「チカラボ」から、工務店の経営者や実務者に役立つ記事をお届けします。
今回は、青木隆行さんの「工務店リアル経営」ルームからの記事です。
株式会社ソルト(SOLT.)代表取締役。経営アドバイザー/MBA。1972年・山口県防府市生まれ。2002年~2019年まで、株式会社銘建(MEIKEN)代表取締役。さくら銀行(現三井住友銀行)を経て、家業であった工務店を事業承継。銘建では、『ライフスタイル型工務店』『一気通貫経営』を提唱。事業規模を2.7億円から23億円へ拡大。2016年より多角化(機能回復型デイサービス・不動産賃貸・民泊・食品物販)展開。2019年M&Aにより事業譲渡。現在は多角化した会社を経営しながら、経営アドバイザーとして全国の工務店・中小企業への支援を行っている。
[第11回] 経営戦略の実例⑤「財務戦略 2/2」
ソルトの青木隆行です。前回は財務戦略を建てる前にまず財務分析を行う事、そして各指標において私なりの目標提示をしました。⇒ [前回]地域工務店の経営戦略の実例⑤「財務戦略 1/2」
今回も財務戦略の続きです。
【今回のPOINT】決算書は開示できるようにしておこう!その理由は?
過去、私自身の銀行マン~工務店経営を経て、やはり工務店は粗利益確保が大変重要な要素になると考えています。工務店に限ったことではありませんが、特に地域に根差した工務店のような業態は「事業の継続性」がカギになります。例えば創業当初は勢いで成長をしたとしても、収益性が低い場合には思ったほど自己資本がつくれず、安全性に不安を抱えるケースもあるでしょう。また収益性が低い事で社員に充分な給与が出せない(良い人材を集める事が難しい)・アフターメンテナンス体制が整わないなどの課題が出てきます。この意味で、粗利率に関しては常にウォッチしておくべきでしょう。
粗利率確保が工務店経営の分岐点
前回解説したとおり、工務店の粗利率は30%以上(労務費は含まない)が望ましいと考えています。(あわせて、販管費率にも目を向けましょう。特に人件費は、行動時間をコストや収益で算出していくと行動妥当性も分かってくると思います)
ただここでは、『価格が上がると受注率が落ちてしまうので、そこまで高い利益率は取れない』という意見もあるかもしれません。そこが工務店経営の大きなポイントになります。それは企業努力次第で、事業発展のためには粗利率30%を確保するにはどのようにすれば良いのか?を考えていく必要があるでしょう。
下記に大手住宅メーカー5社の平均単価・平均床面積・平均坪単価の推移をあらわしています。
2010年から2019年の間で平均単価が1000万円以上、上がっているメーカーもあり、平均坪単価は100万円前後となっています。住宅性能の向上と共に単価は上がり、住宅着工棟数減少のなかで単価を上げ、売上を確保する形となっています。
ここからみても、市場では住宅価格は上がってきている事は明確であり、地域工務店各社も商品力・サービス向上と共に単価アップ(≒粗利率アップ)を目指すべきだと考えています…
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