東急不動産(東京都渋谷区)と鹿島建設(東京都港区)は、両社で進行中の登録有形文化財である旧九段会館を一部保存しながら建て替える「九段南一丁目プロジェクト(仮称)」について、同プロジェクト全体の竣工に先駆け、保存棟(旧九段会館部分)の保存・復原工事が12月に完了すると発表した。全体の竣工は2022年7月を予定。
同プロジェクトは、「水辺に咲くレトロモダン」をコンセプトに、旧九段会館の一部を真正性を追求しながら保存・復原しつつ、オフィスを中心とした新築棟を融合するもの。
保存棟には、創建時の姿を保存・復原した宴会場や、創建当時の雰囲気を感じられるシェアオフィスや小規模オフィス、屋上庭園など多様な施設を設置。工事過程では、正倉院宝物殿の銀壺と類似した模様のクロスや、ブロンズや錫メッキなどの金属製建具、希少価値の高い大理石など、現代では入手困難な素材がいくつも発見されているという。また、職人技が感じられるデザインの工夫も点在しているため、専用の工具や特殊な工法を採用するなどしてそれらを再現したという。
同プロジェクトでは、保存部分の免震化を図るため、免震レトロフィット工法を採用。地下1階に免震装置を設置することで保存部分への影響を最小化しつつ、耐震性能を大きく向上させている。
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