エコワークス(福岡市)は、新築で蓄積した高性能化のノウハウを、リノベーション事業でもフル活用。
性能向上リノベーションができる工務店として、独自の地位を築いている。
福岡、熊本の2カ所に設けた常設型モデルハウスで、スケルトンリノベーションの実現可能性を提示。
予算に余裕のある持家層にターゲットを絞り、効率よく高単価の受注を得て、新たな市場を開拓している。
補助事業創設がきっかけに
2012年、国土交通省の概算要求に長期優良住宅化リフォーム推進事業が盛り込まれた。これを知った社長の小山貴史さんは、CSV経営の観点から事業化を決意し、さっそく翌13年の4月、リノベーション事業部を創設した。
当初は新聞の折り込みチラシで来社、完成見学会に誘導する「昔ながらのビジネスモデル」で事業を展開した。1年半後には見学会が開催できるように。来場者は1回あたり50組前後と好評で、契約数も2年目は18棟まで伸びた。
事業部のスタッフは、リフォーム業界の経験者を新たに採用した。例えばリノベーション推進室の中村善二さんは、建材メーカーのスーパーバイザーとして事業立ち上げから関わり、2019年8月、同社に転職した。
モデルで「できる」を見せる
2015年には熊本、16年は福岡にモデルハウスを開設。中古戸建て住宅の売物件は数が少なく、選択の余地が狭いが、幸いにも熊本、福岡のいずれもバス通りに近い、事務所からも車で10~15分ほどの物件を購入することができた。木造平屋建てで、築年数も偶然同じ(開設当時で築47年)だったという。
モデルハウスの目的として、技術力よりも「軸組だけを残して他を一新するリノベーションが、本当に実現できると示す」ことに重きを置いた。「見本がないと、お客様に(リノベが)できるのだと思ってもらえない」からだ。
完成見学会でも、リノベの見本を提示することはできる。しかし「お客様はずっとそこに住んでいて、ご近所との関係もあるから、新築に比べ見学会をためらう方も多い」という、リノベ特有の顧客心理が開催のネックになる場合もある。確実に見学できる事例として、モデルハウスの存在は重要だ・・・・・
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この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン11月号/工務店らしいリノベーション戦略』(2021年10月30日発行)P.20~に掲載しています。
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