L I X I L(東京都江東区)は、このほど2022年3月期第2四半期決算説明会を開催した。その模様は新建ハウジングDIGITALで詳報している。今回は、出席した瀬戸欣哉社長が質疑応答に応じた主なやりとりを紹介。原材料の高騰などを理由に、年内2回目となる浴室関連の値上げを検討中だと言及したほか、社会的な環境問題などの意識の高まりを背景に、国内市場に期待する分野に、外壁や窓の新調・リフォームとの考えを述べた。
Q. 国内の値上げにより、どの程度コストアップをカバーできるか?
「年内に2回目の値上げすることを検討中」
瀬戸:バス商品、キッチン商品などすでに値上げをおこなっているが、それぞれ事情は異なっており一概には言えない。まず、浴室の場合は、(上期の)後半、値上げをして以降に原材料費が高騰し、コストアップしている。この浴室については例外的に、年内に2回目の値上げをおこないコストカバーをおこなおうと検討している。
ただし、現状即答できる状態ではない。キッチンとトイレに関しては、値上げによって(原材料の)コストカバーはできている。キッチン・トイレに関しては本来コストカバーを目的とした値上げではなく、流通の整流化や商品自体を高級品へと変えていくことを目的として値上げをおこなった。そのため、(春におこなった値上げは)コストアップをカバーする目的での値上げではない。
Q. アルミ価格の上昇について価格転嫁までのタイムラグはどの程度なのか?
瀬戸:常識的にいうと、1年に1回というのが基本的な価格改定。当社にできる価格調整は、価格の低いお客様(大量発注者)への対応を途中で実行するなどしているため、タイムラグに関しては一概には回答できない。ただし、(タイムラグはあっても)マックス1年だろう。
Q. (決算資料には10月末までにほとんどの問題が解決すると記載されているが、現時点が10月最終週)事業環境の想定内売の事象について、現段階で解決するものと、しないものは何か?
瀬戸:日本においてはほとんどすべて解決している。一部、シート型のシャワートイレ(そのほか、細かい点では、パブリックな商品)が遅れているが11月途中(第2週)には完全に正常化する見込みだ。欧米とアフリカは、コンテナの問題なので順番に解消していく。当社が受けている報告では港には物が着いているんで、段階的に11月中には出していけるんだろうなと考えている。ヨーロッパ、アメリカにおいて置かれたコンテナの荷下ろしができていないという状況のものは段々と解決していく。
ただ、そもそもの需要が生産量を超えている物があるので、これに関しては生産能力そのものを上げなきゃいけない。これは外部的な理由というより内部的な理由。もっと大きな成長をしていきたいと思っていますので、そういう意味では引き続き時間をかけてやっていく。ただ、次の期までに影響を引きずるものは少ないと読んでいる。
Q.巣ごもり需要から、今後、旅行や外食などへと需要が変化した場合、現在の中高級品需要への影響は?
瀬戸:(巣ごもりから外出への変化は)決して悪い話ではない。我々はコロナ禍の影響で、プロジェクトビジネスなど大型案件を失っていた。特に東南アジア圏では、ホテルなどのプロジェクトビジネスが大きな割合を占めていた。水栓などでは「グローエ(GROHE)」がまず初めに選ばれる商品で、利益率の良い商品である点からも期待できる。
一方の日本では、巣ごもりから旅行・外出などへの外出志向にすぐに切り替わるとは思えず、またLIXILとして日本市場に一番期待しているのは、水回り製品ではなく外壁や窓の新調・リフォームだ。
この窓などに関しては環境問題意識もあり、たとえ外に出る・外食するなどがあっても変わらないだろう。ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する関心が高まれば高まるほど、我々の窓やドアなど開口部に対するリフォーム需要が高まると考えている。また外で仕事をするなどのエクステリアは、プロジェクトビジネスでも需要がある。巣ごもりから旅行や外出に社会状況が変化しても需要は衰えないだろう。
Q.従来は原材料コストを価格転嫁するための交渉が厳しい業界構造であるが、商習慣や環境に変化があったのか?
瀬戸:上代(定価)をあげるという方法で実際に価格転嫁するのは、エクステリアに関しては問題なくできていた。サッシに関しては、LIXIL含めたメーカー側が価格上昇について(販売店と)交渉をしてこなかった・十分やってこなかったという歴史背景がある。上がらなかったのではなく、上げなかった。この方針について、LIXILは完全に変えた。
また競合他社が(当社の値上げに対抗して)値下げをしてまで案件を取りに行くということは、現在の社会状況的には考えにくい。また、他社が値上げの交渉などをする・しないにかかわらず、当社は他社と比べて差別化のはかれた商品であるため、値上げできないということは考えていない。十分、値上げしても販売できると考えている。
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