「省エネ建築」と言ったときに、建築業者も生活者も、真っ先に思い浮かぶ言葉は「高断熱」ではないだろうか。実際に「断熱」は、現代建築の建物省エネ化の主要なツールになっていて、広告の宣伝文句としても、頻繁に使われている。
一方、建築物理学的には、少なくとも「断熱」と同じくらい重要である「蓄熱」は、温熱計算の上でも、意識の上でも、十分に顧慮されていないのが現状だ。このことは、中央ヨーロッパ・ドイツ語圏の業界の中でも問題視され、議論されている。
重要なテーマであると思うので、2回に分けて、議論のポイントを紹介したい。
まずは「断熱」と「蓄熱」の物理学的な違いについて話そう。
断熱性能を表すものとして、熱伝導率(λ値)、熱貫流率(U値)、外皮平均熱貫流率(UA値)、熱損失係数(Q値)などがあるが、いずれも、外気温と建物の内気温で1℃の温度差があるときに、1秒間にどれだけの熱が伝わるか、という「空気の温度」を基準にしたものである。値が低いほど、熱が伝わりにくく、断熱性能が高いということになる。
「蓄熱」は、マテリアルが熱を蓄える・・・
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