気密性能を確保するにはシートやテープなどの資材の選定と正しい使い方が重要だ。専門メーカーである日本住環境の釣本篤司氏に取材し、基礎知識をまとめた。
防湿気密シート① 材質とその特徴
◉一般に防湿気密シートは性能と価格、重さで選択。性能面では破れづらい0.2mm厚が優れているが重いのが難点
➡︎0.2mm厚の製品価格は5本で10万円弱(設計価格)。0.1mm厚は軽量で約2万円安い
◉材質の違いもある。再生ポリエチレンの製品は安価だが厚みのムラがある。バージンポリエチレンの製品は均質だ
➡︎厚みにより防湿性能も変わる。それを踏まえて安定した品質の製品を選ぶ
防湿気密シート② 継ぎ目は横張りのほうが少ない
◉一般には幅1000mmのシートを縦張り。シートの両側に手が届くので施工性がよい
➡︎横張りすると下地がないところでシートをつなぐことになるので縦張りとなる
◉高気密にこだわる工務店は幅2800mmなど広幅のシートを横張り。床から胴差しまで1枚で覆って継ぎ目を減らす
◉シートは木下地にタッカー留め。シートを破損しやすいハンマータッカーは用いない
➡︎タッカーの小穴は気にしなくてよい。0.2mm厚のシートなら穴が拡がることはことない
◉縦張りの場合、シートの重ね代は30mm。柱・間柱など下地のあるところで重ねて気密テープを貼る
➡︎取り合いやシートの継ぎ目に貼る気密テープはケチらずに使用する。増し貼りして嵩んでもひと現場の使用量は30巻入り3ケース程度。5万円以内(設計価格)で済む
防湿気密シート③ 性能確保には先張りシート
◉防湿気密シートを連続させるには先張りして気密シートを連続させるのが基本。上棟直後に先張りシートを施工する
◉先張りしない場合は梁と桁の取り合いなどにシーリングや現場発泡ウレタン、気密テープなどで塞ぐ。ただし経年変化も考慮すると先張りシートが優れている
◉基礎断熱の場合、土台・基礎間に気密パッキンを用いるが、防湿気密シートが付属した製品を使用し、室内側に巻き込むと確実に気密が確保できる
➡付属シートを透湿防水シートにした製品もある
気密テープ① 材質とその特徴
◉気密テープはアクリル系かブチル系になるが、最近はアクリル系が主流。特に室内はアクリル系が圧倒的に多い
➡薄手で手で切れるのでカッター不要。使い勝手がよいためヒューマンエラーがでにくい
◉少し前まで気密テープは黒色だったが、最近は白色が多い(上写真:右)。構造見学会の際の見た目がよいことから採用されている
➡ただし施工管理しやすいのは黒色(上写真:左)。施工状態がよくない箇所が目に付きやすい・・・・
【残り1744文字、写真・イラスト18枚】
この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン10月号/健康・エコ 国産材が主役のサステナブルな家づくり』(2021年9月30日発行)P.168~に掲載しています。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。