HEAT20のG3クラスの断熱性能になってくると、屋根や壁などの断熱層が多層化し、気密も複雑化。窓も重量化する。高性能住宅の断熱気密施工を省力化する手法について、梶原建築(山梨県富士吉田市)代表の梶原高一氏に聞いた。
断熱型枠の施工のポイント
◉防蟻EPSを型枠代わりに用いるJ-リミテッド工法を採用。まず土間下の断熱材を施工。次いでベース部分の鉄筋を組む。ベース施工後に立ち上がりの断熱型枠と鉄筋を組む[写真下]
◉断型熱枠はブロックのように積み上げていく仕組み。型枠を途中まで組んで鉄筋を設置。さらに型枠を積んでいく(※)
➡断熱型枠の継ぎ目に隙間ができたらクラフトテープなどで塞ぐ
※途中で鉄筋組みが不要なセパレータ仕様の断熱型枠もある(TSキソフォーム)
◉型枠頭の天端に頭つなぎ金物を約1200mmピッチで取り付け、桟木で補強。約1800mmピッチで控えを取り固定する。なおコンクリート打設は通常の型枠と同じ
◉内側の立ち上がりは断熱材が不要なので通常のコンパネ基礎で組む
◉脱型後、断熱材保護のために埋め戻さずにすぐに下塗りを行う[写真下]
断熱型枠の評価と注意点
◉J-リミテッド工法は材料代は高めだが外周の型枠と断熱材設置が不要になるので材工では安価になる
➡ただし基礎屋が慣れない初回などは高く見積もられる可能性がある
◉採用に際しては基礎伏せ図や標準断面図をもとに材料メーカーと打ち合わせて土間下の断熱材や断熱型枠の割り付けを決めておく
➡断熱型枠は事前にカットされ、番号が振られたかたちで現場に搬入される。現場ではそれに沿って組み立てるだけなので作業性はよい
土台周りの気密化
◉基礎と土台は気密パッキンで確保。パッキンとアンカーボルトの取り合いは最小限の穴を開ける[写真下:左]
◉出隅/入隅はパッキンを交差させて、それぞれパッキンを1本ずつ切って交差させる[写真下:左]
◉気密パッキンを施工しても基礎天端の不陸による隙間は残る。土台と基礎の間に防蟻シーリングを施す
➡基礎断熱材は基礎天端より10mm高く設置。外側の断熱材と土台の間にシーリング打設[写真下:右]
【残り842文字、写真24枚、図面6点】
この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン10月号/健康・エコ 国産材が主役のサステナブルな家づくり』(2021年9月30日発行)P.160~に掲載しています。
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